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2006年2月25日 (土)

中絶禁止法案を可決

アメリカの話。AP通信によれば、米サウスダコタの州議会は24日、人工妊娠中絶をほぼ禁止する内容の法案を可決した。法案にラウンズ知事が署名すれば7月1日に州法成立となる。成立すれば法廷闘争に発展するのは確実で、保守派判事が任命されたばかりの連邦最高裁で、妊娠中絶を合法化したロウ対ウェイド判決が覆される可能性も出て来ると見られている。

【ロウ対ウェイド判決】とは
テキサス州の中絶禁止法の合憲性が争われた裁判で、女性には中絶する、しないを選ぶ権利があり、州がこれを制限するのは違憲とした1973年の最高裁判決である。女性の中絶決定権を認め、妊娠3ヶ月以内の堕胎を合法化したものである。女性の中絶の権利を支える基礎となっており、これを守ろうとする中絶支持派と中絶反対派が30年間激しく対立して来た。

今度の法案は、命は受胎から始まるという考えに基づき、中絶手術を行った医者に禁固5年の刑と罰金5.000ドルを科す。中絶が認められるのは妊娠の継続や分娩が母体の健康を損なう恐れがある時だけで、日本では認められている暴行や脅迫によって、またはレイプされて妊娠した場合でも、この法案は認めないとし、日本では想像し難い近親相姦による妊娠の中絶も認めない、としている。

‘いのち’の始まりを受胎とみるのはカトリックの生命尊厳派の考えに基づくものであり、日本の母体外で生存可能な時期(22週155日以降)とする解釈とは随分異なる。共和党のラウンズ知事は24日、「中絶反対。命を守るためにできるだけのことをするべきだ」と話しており、法案に署名する可能性は高いと見られている。サウスダコタ州内で唯一の中絶クリニックを経営する「プランド・ペアレントフッド」は成立したら、憲法違反として提訴する方針だ。

ブッシュ2期目で、ロバート最高裁長官とアリート判事という保守派判事2人が任命されたことで、機が熟したと見ているようだ。同様の妊娠中絶禁止法案はインディアナ、ジョージアなど7州の議会に提案されている。

日本でも中絶は2つの理由(アメリカと同じ母体の健康を損なう場合と、暴行や脅迫、レイプされて妊娠した場合)を除き禁止されているが、実態は毎年34万人(未報告を入れると100万人)の中絶が行われ、「堕胎の罪」として刑法第212条〜216条による処罰規定があるにも拘らず、堕胎天国の名を恣(ほしいまま)にしている。現在日本でも政府が悩んでいる少子化対策も、法律をきちんと守れば隠れ堕胎も防止でき、子どもが増えなければならないのなら、どんどん増えてくれることだろうに。逆に日本の堕胎天国振りがアメリカまで知れれば、渡航費を使ってアメリカ女性が日本にやって来てくれることになるだろう。

(自ブログ内関連記事)
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