たばこ依存症に保険適用
懸案であったタバコが止められないで治療を受けている人たちに対して、中央社会保険医療協議会は喫煙による病気であるとして、保険の適用を決めた。「ニコチン依存症管理料」というのが正式名称。06年度の診療報酬改定で患者は12週間で5回に亙り専門の医師から治療を受けることができることになる。
「病気とはいうが、社会的な合意はまだできていない」
「指導の効果はあるのか」
「喫煙は趣味の問題で、公的保険で診るのは時期尚早」
など、さまざまな反対論もあったらしい。それらの理由から当面は、指導を行う医療機関の基準を厳しくすることで限定的に始め、2年後にデータを検証することで決着をみている。
平常狂気沙汰でタバコの害を説き、副流煙による健康被害を世論に訴える人たちが、なぜ喫煙で健康を害した人が保険で治療を受けることに今まで反対し、今なお固執するのだろう。喫煙による健康被害で約1・3兆円もの超過医療費がかかるという報告もあり(因にアルコールは約1兆円)また、ニコチン依存症はアルコール依存症に比べて軽く、病気ではないという意見もある(が、実際はアルコールの方が依存性は強く、ヘロイン、アルコール、コカイン、覚醒剤、マリファナ、LSD の順になる薬物性であることを世界保健機関【WHO】でも認めているのだ)。
政府が04年度に批准した「タバコ規制枠組み条約」は、喫煙やタバコの煙により死亡、疾病、障害を引き起こすことは科学的証拠により証明されていると指摘している(全く正反対に疾病との因果関係を否定する説もある)
さらに日本呼吸器学会、日本循環器学会、日本肺癌学会など9学会は、タバコを吸うことによりニコチン依存症と関連疾患からなる「喫煙病」を引き起こすとして、喫煙者には積極的な禁煙治療が必要と結論づけている。
アルコール依存症の治療にはすでに保険が適用されており、ニコチン依存症もそれにあわせることが時代の流れだ。タバコは嗜好品であり(同じく酒も趣味であり嗜好品だ)健康障害が心配だからといって、国が強制で禁止するものでもない。喫煙(飲酒)による健康被害を防ぐためには、禁煙(禁酒)指導の保険適用に加え、私が以前から云うように、もっとタバコ(酒類)の値段を引き上げることも有効な手段になる。値上げにより増収になれば、医療費や健康づくりの施策に廻せばよい。タバコの経済損失7兆円、酒類の経済損失6・6兆円も少しは軽くなる。
この問題に関連して22日、神奈川県の松沢成文知事は、未成年者の喫煙や飲酒を防止するために、全国で初めてタバコ、酒類の自動販売機に、成人識別機能の設置を義務付ける条例を制定すると発表した。07年度中に施行を目指し、罰則を設けることも検討中で、違反業者名の公表や違反ステッカーを自販機に貼り付ける予定。また、日本たばこ協会は08年度中に、ICチップ搭載の「たばこカード」の発行を予定し、発行を受けた成人しか購入できない自販機を全国で約62万台を導入する計画で、全国小売酒販組合中央会もすでに旧型の自販機の撤去を進めている。しかしながら対策は万全とは云い難い。カードは持たなくても仲の良い成人の友人を通して購入することは易々とできる。完全な対策はタバコは栽培を禁止し、酒類も製造を禁止(アメリカの禁酒法は失敗したが、裏の世界の酒場、飲み屋、バー、カフェも消さない限り)する以外方法はないだろう。その後は重税が待っている。タバコ税2・3兆円、酒税2兆円の合計にあたる税が課されることになるだけだ。
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