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2006年1月25日 (水)

退職後の不安

毎日新聞(1/24)から
迫り来る団塊世代の退職問題が喧しく取り上げられ始めた。会社組織を離れ、福利厚生サービスを受けられなくなったら、と。中高年のそんな不安に応えようと日本でもアメリカのAARP(全米退職者協会*)を真似てパソナ(総合人材派遣サービス企業)とNTTデータがこの問題に取組もうとしている。
 *本部をワシントンに置いた50歳以上の会員3,400〜3,600万人を有する世界最大級の非営利組織

1958年に設立され、高齢者に独自の医療保険を提供して急成長してきた。奉仕される側ではなく、奉仕する側にをモットーにする一方で、医薬品販売、旅行商品割り引きや法律相談、運転講習会などのサービスを提供し、事業収入は800億円規模に上るといわれている。

パソナ(社長はアメリカ在住時にAARPを知った)は昨年9月、50歳以上を対象とする会員に福利・厚生・雇用など生活支援サービスを行うNARPを東京電力など(他にもあるらしいが)の出費を得て設立。12月からそのナープクラブの会員を募集し始めた。入会金1万円、月会費500円。サービス内容は賑やかだ。 年金や保険などのコンサルティング、法律や税務に健康相談、人間ドックや介護施設の割り引き、国内外ツアーやホテル各種スクールの割り引き、コンサートやイベントの優先割り引き、美術館・テーマパークに飲食店2万店の割り引きの他にも人材紹介、社友会・OB会の事務局運営、なども行う、多彩なサービスメニューには目が廻る。5年後には20万人を目指している。

一方NTTデータも定年退職者向けのサービスを予定しているが、こちらはもっと名前がややこしい。何故かこちらはフランス語の「管理人」「案内係」プラス英語の「サービス」をたして『コンセルジュ・サービス』を予定し、「個人ブログ(日記風の簡易型ホームページ)」と「よろず相談」の世話をする。会費はできれば無料にしたい考えのようだ。
「会社という居場所がなくなり、いきなり地域に放り出されてもそこにも居場所がない。そんな人たちがいわばサイバー同窓会のように、退職仲間らと気軽に話し合えるコミュニティーを提供したい」(同社広報係)

NTTデータの方はまだいい、「当面、会員は企業単位で・・」とは老後の生活をそれこそ企業単位で労り合うような趣味の集まりになる危険性を孕むだけだろう。しかし、アメリカのAARP発展の影には歴史の浅いアメリカでさえ200年を越す歩みの末に掴んだ民主主義を基盤にして成り立っている。所謂、自由と責任、自己責任を色濃く身につけている。日本の場合、高々50年のそれも戦争に負けた結果お恵みのようにして与えられた民主主義だ。自由の概念さえ掴み切っていない。まして自己責任の取り方さえ覚束ない日本でこのアメリカ型を真似ただけのサービスが成功するのだろうか。

個人的には他に退職の受け止め方がある。生まれたからには死に向って進んでいることは誰にも解っているはずだ。一年経過すれば一歳年を重ねる。60年生きれば60歳だ。現在日本は世界一の長寿国だが、長寿とは死なないことじゃない。必ず死ぬ、例外はない。どう死ぬかを考えれば退職するまでにやることは計画済みでなければおかしい。私の場合50歳になったころ丁度パソコンが世に出た頃だった。ゲームから発達したパソコンは職場でいじるのは気が引けたが、働きを知るためにはそのゲームをしなければならなかった。当時は55歳定年の企業が多くあった。パソコンを知っておきたかった。「仕事中にパソコンで遊んでいる」と陰口が聞こえたが無視した。当初のMS-DOSを学んだ、簡単なプログラムにも挑戦した。

その前には敗戦後学んだ世界史で、古代ギリシャを知り、パルテノン神殿の写真に魅せられた気持ちをずっと持ち続けていた。日本の古代史と比較した。少年の心に激しいカルチャーショックを巻き起こさせた。死ぬまでにきっと一度はこの地の上に足を置きたい。はっきりとした目標ができた。即座にギリシャ語を学ぶべくカルチャーセンターに何年も、退職してからも通った。学業を通して学んだ英語は敵国語として最初から拒否反応があった。全く身につかなかった。しかし、自ら選んだ目標には楽しさが加わった。

ギリシャの旅の恥はチャレンジした言葉でさんざんかいて来た。日本人の得意な旅の恥はかき捨てを芯から嫌う私には言葉で試してみた。ブログに載せた国々の10日〜15日の訪問でもその国の言葉を少しでも学んでから出かけた。ゴルフなんかして遊んでいる暇はない。考えれば企業勤めをしていた頃よりも数段忙しい、楽しい。退職後をどう過ごそうか、は退職真際になって考えるものではない。何ごとも事前の準備が必要だ、今年、来年をその時に迎える人には遅いかも知れないが、5年10年先に定年を迎える人には今からその時は必ず来ることを考えた人生設計を立てて置くことを薦める。趣味がないから、は思慮がないから、ということ。


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