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2006年1月29日 (日)

ソニー・ニコン・コニカミノルタ

諸行無常を感じるこの頃だ。先にソニーが一世を風靡したウォークマンの生産工場を閉鎖し、工場を外国へ移転させると発表したのに続いてニコンのフィルムカメラ事業の縮小(一眼レフ8機種のうち6機種)、立て続けにコニカミノルタホールディングスのカメラ、フィルム事業からの完全撤退が発表された。

何時でもどこでも音楽のある生活を楽しめたウォークマン、カセットテープからCDへ、MDの短かった期間を一足飛びにメモリーを媒体とするiPodその他の機種が世界規模で広がっている。技術の革新は驚異的な曲数を持ち運ぶことを可能にし、若者たちの圧倒的な支持を受けている。私などはアナログから未だに離れられずに時あればアナログプレーヤーに載せたLPレコードの音を、スクラッチノイズと共に享受している。ダイナミックレンジの広いクラシックはやはりヘッドホンで聴いても楽しめない。モーツアルト然り、バッハ然り、ベートーベン然りだ。音の加工技術が如何に進んでも最終的には人間の耳にはスピーカーを通したアナログの音だ。ウォークマンで聴ける趣味の曲は限定されたが2台まで潰した。CDタイプのものは車に搭載したが、運転に心地よいのはバッハだった。2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調、ヴイオリン協奏曲ホ短調、五嶋みどりとズッカーマンの類い稀な曲づくりは運転時の神経を鎮め、優しく車を走らせることができた。

また、銀塩写真で写真の面白さを学んで来た世代にはASA10が50に、100、200、400、800、1000、1600と日月とともに超ハイスピードの感光材料に開発が続き、高速移動の被写体や暗い場所での対応が可能になり、白黒は東京オリンピックの年に『天然色写真』を謳ってコニカがASA50を世に送りだした。一足遅れてフジフィルムが同じくASA50で追い掛け、揃って世界のコダックを追い掛けた。当時は日本のカラー写真はコダックに遅れを取ること凡そ30年と云われていた。疾うに追い抜いた現在でも、こだわるプロはコダックを崇拝している人もいる。

フィルムの発達は使用するカメラやレンズの発達を促し、システム化され、カメラ自体は自動測光による適正露出装置を持ち、被写体までの距離の自動測定による自動焦点カメラとなり、交感レンズ群を生み出して行った。レンズ開発の段階でキャノンは人間の目よりも明るいと評判を呼んだ大口径レンズを発売した。そのキャノンは現行フィルムカメラ5機種の生産を継続する考えのようだ。世界的に見て「ニーズは堅固」としている。キャノンのカメラ事業に占める割り合いを04年度で見ると、ディジタル69%に対してアナログが16%を占めていた。

技術開発は小型カメラ(ミノルタの8ミリ)やインスタントカメラを世に出したが品質面で評価されず、衰退の道を辿って行った。フィルムメーカーと写真を楽しむ人との間には印画紙にプリント加工するラボが存在するが、昔から存在した街の写真屋さんに小型の現像機、プリント、引伸ばしのプリンターが導入され、写真業界の勢力分布が様変わりを始めた。工場としてのラボの経営は困難を極め、小型ラボの吸収合併が行われるようになった。関東圏だけでも多くのラボがなくなり、街の写真屋さんでは加工不可能なプロの写真加工、所謂商業写真の分野を手掛けるラボが専門ラボとして生き延びた。特にディジタルカメラの出現はそれまでのフィルムを主材料としたラボには経営のノウハウの蓄積がなく、パソコンのパーソナル化が一層拍車をかけることになった。

自宅に置いて個人で写真にすることが可能になったプリンターの出現は、ますますフィルムの必要性を弱め、低価額での写真化を可能にした。大量生産されるディジタルカメラはコンパクトになり、フィルムカメラで培った製造技術を取り入れて誰にでも使えるカメラとして浸透して行った。フィルムカメラは次第に付加価値を求めて高級品になり、入門機はディジタルで十分という風潮を拵えて行った。

以前は写真の価値を美しい色彩に求めた日本人の美的センスと、色はどうでもよい、何が写っているかが解ればよい(赤ちゃん誕生、家族団欒、旅行スナップなど)とした西洋の感覚との比較が写真の価値基準としてあったが、今やラボ経由で日数の懸かった写真よりも速ければ良し、とする現代の日本人には品質への妥協をある程度許すことが可能なのだろう。そう、品質は今でも銀塩写真の方が優れているのだ。大きく引き伸ばしてみるが良い、ディジタルにはデジタルの特徴がはっきり出て来ることがわかるだろう。極超微粒子を塗ったフィルムと印刷技術、違いは直ぐに解る。フジフィルムは写真文化を守り育てることが使命として作り続けることを決定している。

今、大型カメラ店の高級フィルムカメラや交換レンズは店に入荷と同時に殆ど売り切れになる状態と聞く。

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コメント

このコメントに限らず、こうべえさんの内容にはいつも感じ入ります。この内容も、小6からカメラをかついで歩いましたから納得ですね。キャノンのネコの目レンズなんて懐かしい!キャノンはニコンのレンズを作っていた会社だったんですよね。凄いアナログ財産を日本は持っているんですね。大事にしなきゃあ!
そうそう2つのヴァイオリンのための協奏曲、お目が高い!心地よい曲です!

投稿: Bach | 2006年1月30日 (月) 19時00分

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