流行(整形・形成)
その昔、“身体髪膚これを父母に受く 敢えて損ない破らざるは 孝の初めなり”は文字どおり親孝行の始まりといって、子は怪我をしたり、我が身に傷をつけないように心掛けた。心掛けても怪我をする時はする。小学校に入ると先ず、教師は幼い子どもの心に親への感謝の気持ちを教え、言いつけを守り、悪さをしないように教えた。1945年の敗戦は学校から歴史を追放し、併せて修身をも追放してしまった。神話を否定し、それまでの道徳を否定した。
天皇は天上の神から生きた人間世界に降りて来た。日本人は価値基準を見失ってアメリカから民主主義なる便利な生き方を与えられ、「自由」は「責任」を置き忘れて我が侭が横行する世の中になって行った。ストライキが復活して労働者は勢いづき、人間性、人間性を無視するな、と発展性のない錦の御旗を振りかざし、切り札として大いに利用した。結果は歴史が証明するように国鉄は瓦解し、世界史的には共産社会は滅んで行った。
話を引き戻そう。恐らく今の世“親孝行”は死語になっているだろう。ここ何十年この言葉を耳にしたことがない。何度か書いて来たが、明治に書かれた教育勅語の中に「親ニ孝ニ兄弟ニ友ニ・・・」は敗戦を切っ掛けにひと絡げにして価値を失い、軍国主義の代表悪として教育の場から抹殺されて行った。“一旦緩急あれば”命を捨てることの大前提が心理を逆撫でするからだ。しかし、教育勅語を離れて考えれば親孝行は人として当然の義務であるはずだった。
一度外された親孝行の箍(たが)は戻しようもなく、止めどなく崩れて行った。我が身を傷つけ、損ない、親からもらった体を以前に似ても似つかない容貌に替える作業が流行っている。本来ははっきりとした違いがある
整形 -- 主に骨や筋肉を取り扱う
形成 -- 火傷や骨折などによる体の表面の傷害や奇形・変型を修復・治療する外科
に区別されているが、従来使われていた美容整形といった言葉が紛らわしく、現在は統一した正式名称
美容外科(若しくは美容形成外科)と呼ばれるように法制化されている。
美容外科は外見的に正常な人間が、さらに美しくなりたい、或いは若く見られたいなどの要望に応える治療であるため健康保険は適応されない。ということは全ての治療は自己負担になることだ。例えばある医院の例だが、
二重まぶた 40万円
脂肪吸引 65万円
皺取り 140万円 の負担が生じる。
テレビ局に集まった数人の女性に自分がどれほど惨めな女性かを競わせ、野次馬の女性たちに選ばせて籤を引き当て、番組仲介で変身の手伝いをする。選ばれる女性の涙々の熱演は恥も外聞もない。そこまで己が捨てられるなら何も治療することなどない、と思うのだが。未婚の女性のこれも又己の自己満足だが、この先結婚を考えているのなら顔面はいじらない方が良いと思う。何故ならあなたが産む子はあなたが変身する前の姿形になるのが当たり前だし、あなた以上に鼻の低い子かも知れないから。
いまほど性モラルが乱れていなかった敗戦後の時代、散々遊んだことのある女性でも男をたぶらかす救いの治療があった。男の頭にはまだ処女崇拝が巣食っていた。そこに処女膜再生手術だ、初めてを装えばよかった。できちゃった婚で晴れ晴れと結ばれる今の世とは隔世の感がするが本当の話だ。《現在でも実施されているようだ。スポーツ選手の激しい動きでなくした人、大事な男性との初めての時のため》
更には50年、60年生きて来た人が今さらの皺を延ばして若返ってどうする。皺は年輪だ、それだけ人間を生きて来た証だ。白髪と同じ若い者が敬うべき年輪だ。長老の敬をなくした今の若者には通じないかも知れないが、皺の一本一本が苦労を重ねた証なんだ。私は嘗て髪を染めたこともないし、染めようと思ったこともない。やっと人生を重ねて来た証の白髪をどうして染める必要がある。まして毛唐かぶれの赤毛になんぞ。女性にも見事な白髪の上品な(というより気品を感じる)お年寄りを見かけることがある。生きて来た人生に自信があるのだろう、と思う。
見た目が○○パーセントなる本が売れているようだが、自然が一番いい、あるがままに生きるのがよい。
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コメント
はじめまして。記事内容が同じものを扱っている部分を感じましたのでトラックバックさせていただきました^^
突然で失礼ですがよろしければ貴サイトのアクセスアップに貢献させてください。よろしくお願いします。
投稿: 五郎の嫁ちゃん^^ | 2006年3月 2日 (木) 14時28分
トラックバック並びにコメントをありがとうございました。
折角ですが私1931年生まれの当年74歳になる老人です。偶々取り上げたテーマが“性の乱れ”であっただけで、そのような世相への警告なのです。出会いを目途としたものではございません。
常日頃勘違いによるメールも数寄せられ、迷惑も蒙っている次第です。お申し出には感謝いたしますが、アクセスアップについてはお断りさせて戴きます。
投稿: 小言こうべい | 2006年3月 2日 (木) 18時49分