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2005年12月24日 (土)

出生率の低下と少子化

少子化も出生率の低下も云われて何年も経過するが一向に歯止めが掛からない。
厚生労働省が22日に発表した05年人口動態統計の年間推計で、統計を開始した1899(明治32)年以来初めて出生数が死亡数を下回り、約一万人の自然減となる見通しとなった。これは人口問題研究所が減少すると予測していた07年よりも2年早く現実の問題となった。

日本では一人の女性が生涯に産む子どもの数である合計特殊出生率(出生率)が74年から減り続け、03、04年は過去最低の1.29になった。現人口を維持するための水準2.08を下回り、30年も前から続いていた減少傾向が遂に死亡数を下回る状況をうんだものである。

問題は現在の日本の人口が理想とするものか、或いは必要とするものか、減少することが将来日本を危機的状況にするものか、反対に増加が必要なものか、基準となる人口が何人である必要があるのか解らない。もともと資源の乏しい日本だが、輸入を前提とすれば上限をきめることもないだろうが、自給率100で考えればもっともっと人口は減った方が良い。ただ社会保障の点から考えると若年層の減少は現時点で高齢者の逆ピラミッドの年齢構図では支え切れない問題が残る。

方々で、多くの人が少子化対策を唱えているが、そして福祉国家として社会保障の整備されたスウェーデン辺りを例にした種々データを羅列するが、日本の劣る面ばかりを引き合いにし、その依って来るベースを等閑(なおざり)にする傾向が強い。例えば 社会保障給付費対GDP比の国際比較(OECD:経済協力開発機構)Public Social Expenditure を例に取れば
 
 社会保障給付全体        家族現金給付*
  日本     14.66      0.47(%)--GDP比
  スウェーデン 30.98      3.31
  アメリカ   14.59      0.51
  フランス   28.82      2.69
  ドイツ    27.79      2.73
  イギリス   24.70      2.22
      *(両親保健、児童手当等家族に係わる財政支出)

と、これだけを見て如何にも日本の施策が低いように見えるが、預貯金0でも老後の心配が一切ないスウェーデンと比較すること自体が乱暴なことなのだ。その裏付けとなる課税システム(所得税、消費税など国民の負担税合計は優に70%にもなる)を財源にしての諸施策なのだ。スウェーデンに限らない、おしなべて家族現金給付の高い国は税率は高くなっている。

過去に消費税3%が5%に、今後7%、15%に、アルコール酒税、たばこ税の増加の話が出る度に、拒否反応を起こす日本では何時まで経っても望めない手厚い国家保障なのだ。まして、官僚の無駄遣い、国の無駄使い、それも国民の血税を天文学的な巨額を浪費しても責任の所在も追求せず、明らかにもできない。小泉が国債発行30兆円以下をなんとか守るようだが、焼け石に水だ。

政府は少子化、出生率の低下の原因を晩婚化が進んだから未婚率が上がったと捉え、仕事と子育ての両立、その負担感を緩和・除去することで安心して子育てができるようにしようとしている。
基本的な施策として固定的な役割分業や職場優先の企業風土の是正として
 ♦職場における性別役割分担の是正や男女の雇用機会均等の確保
 ♦家庭における男女共同参画に係わる広報・啓発活動
 ♦農山漁村における男女共同参画の推進
 ♦男女共同参画に関する学習の推進など、男女共同参画社会の形成の促進
 ♦個人のライフスタイルの選択に中立的な社会制度の検討
また職場優先の企業風土の是正としては
 ♦国民的キャンペーンの実施
などなど。
要は女性が如何に過去虐げられてきたか、今なお差別に苦しんでいる女性をどう救うかのような時代錯誤を伺わせる。ウーマンリブ華やかなりし70年代の頃、彼女らがどんなに叫んでも、敗戦後生まれた女性厚遇の生理休暇など不要(必要な女性も多くいるのを承知で述べるが、この特権を悪用した女性は掃いて捨てる数出た。ずる休み、旅行に、遊びに、逢い引きに、28日周期を無視した月に2回などはざらであった)や、力仕事させろ、夜間勤務につかせろ、残業させろ、日祭日出勤させろと云った要求は誰も、何処からも一切出なかった。この時代男は血みどろになって働いていた。女性は厚遇された職場環境の中にいた。女性は職場の花であれば良かった。多くお茶汲みをさせられていた時代だ。そのためにウーマンリブも生まれ、お茶汲みだけが女の仕事か!となって成長した。

今、言葉はジェンダーだ、性差だと言葉だけは変わったが女性の社会進出に反比例して家族が失われていく危機感を持つ。子どもが生まれても乳ばなれもしない内に母親は託児所(私は小荷物一時預所と呼ぶ)の他人に我が子を任す。当然子どもは母親の乳房の温もりを知らず、肌を伝わって来る鼓動を聞いて心安らぐこともなく、スキンシップの多くの時間を断絶させられて育つ。言葉を発せられるようになると同時に携帯電話を持たせ、顔を見ることもなくする会話で事足れりとする。経済観念のない子どもの電話をチェックすることもない。これでもか、これでもかと要求は高くなる。

皆が望んでいるような要求を、諸手当を獲得したいのなら、課税(真っ先に所得税、消費税等々)率のアップに反対せず、将来の生活の不安を取り除くことを考えるべきだ。全ては国に金があって可能なことだから。しかし、これには今までのような税金の無駄遣いをさせない国民の管理・監視システムを確立しておく必要はあるが。

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コメント

こんにちは。
はじめまして。

>問題は現在の日本の人口が理想とするも>のか、或いは必要とするものか、減少する>ことが将来日本を危機的状況にするもの>か、反対に増加が必要なものか、基準となる>人口が何人である必要があるのか解らな>い。

私も日ごろより少子化については何か腑に落ちないところがあります。
本当に大切なものは何か。
国民が望んでいることは人口の増加なのか。
子育てのしやすさとは何か。
等等・・・。
何か大切なことが忘れ去られているような気がしてなりません。

とても考えさせてもらった記事なので
取り留めのないコメントをさせてもらってしまいました。

投稿: ちこ | 2005年12月26日 (月) 17時28分

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