たばこ税率引き上げを
毎日新聞(11/14)朝刊から
やはり来たか! 反対の声の強い酒税に続いて一蓮托生か對(つい)ででもあるかのように、鉾先を向けて来た。健康国民会議(日本経団連、全国知事会、日本医師会の代表者34人がメンバー)は10日の会合で、
♦男性の喫煙者が肺癌で死亡するリスクは非喫煙者の4・5倍
♦喫煙が主因の医療費は年間1兆3086億円
♦労働力低下など
を含めた経済損失は7兆3786億円。などのデータをもとに、たばこ税の税率を引き上げ、その税収を健康診断の費用などに充てるよう求める運動に乗り出した。
政府・与党内にも医療費削減の決め手として、たばこ増税を求める意見もあることから、嫌煙運動運動を利用して税制をいじれる見通しがあると踏んでいるようだ。
その増税の根拠になるものは到って単純、諸外国と並ぶ税率にしようというもの。日本の税率は低く、平均で価格の約6割。欧米諸国の7〜8割を参考とし、国民会議は低くても国際基準に持って行きたい考えでいる。
厚労省は禁煙治療を公的保険給付の対象とする方針を決め、禁煙指導に力を入れており、国民会議の運動を後押しする考えであるようだ。ただ政府内にも「課税の公平性に反する」との意見も強く、中長期的課題として当面は前面に出ることを避けるとしている。
癌とたばこの因果関係はまだまだ医学的にも未解決で、直接結びつく決定的な原因とはなっていない。ただ世間の騒ぎかたが狂気じみていて、大方はたばこの匂い、副流煙の被害、失火、莫大な治療費などを上げる。
これだけを云うなら同じ習慣性の嗜好品に酒がある。自ブログ(10/4)に詳しく書いたが、全く同様の経済損失を酒も生じているのだ。内容も同じ、医療費、労働意欲の低下、中毒症状などと、煙草以上に悪いドラッグ性だ。加えて酒が煙草以上に悪いのは殺人に結びつくことだ。酔っぱらい運転による死亡例或いは事故は連日のようにマスコミに取り上げられる。煙草の副流煙をいう人もいるが、その匂いだけだったら好きだという人もいるのだ。嗜好品の嗜好品たる所以だろう。逆に私のように酒の匂いの嫌いな人間もいる。飲んだ後の息の臭さは煙草の煙りの何十倍も吐き気を催す。これから年末年始に向って電車や乗り物の中は、大虎小虎の雌雄が吐く息で窒息するような雰囲気が篭るだろう。
値上げには根本的に賛成だ、どちらも必需品じゃないんだ。飲めなきゃ飲まなければいい、量を減らせば済む。しかし、政府も国民会議のお偉いさんたちも子どもじゃあるまいし、外国がこうだからじゃ、『皆んながやっているから僕もやる』の幼稚な子どもの比較論だ。片手落ちの煙草だけで酒と変わらない経済損失を大袈裟に論(あげつら)い、政治献金をくれる酒組合があるからこちらはまあまあで済ます。酒には至って甘い飲んべえ日本が丸見えじゃないか。
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コメント
しかし、この2つには決定的な違いがある。
酒の主成分は水H20とエタノールC2H5OH、点滴もできる純然たる栄養成分で、点滴製剤すらあるくらいなのだ。飲み方さえ間違えなければ百薬の長たるゆえんである。
一方たばこの成分は毒物の集合体で、発ガン物質であるばかりでなく、肺や気管を直接傷害したり、脳や心臓の血管をもろくしてしまう。最悪なのはその中毒性で、本人がやめようとしたってやめることはまず無理なのだ。医学的にみて、たばこを吸う人の半分がたばこ中毒患者だといわれている。少量でも毒、それがたばこなのだ。
投稿: tku | 2005年11月14日 (月) 21時37分
コメントありがとうございました。
酒の主成分のエチルアルコールは麻酔薬と同様の脳を麻痺させる作用を持ち、酔うこと自体が麻痺そのものなのです。
飲み方に正しいとか適量の基準は存在しないのです。なたがおっしゃる『百薬の長』は後半部分が大事な警句なのです。吉田兼好は徒然草でこう云っているのです。“百薬の長ではあるが、万病は酒より起こる”と。それを酒飲みたちは後半は都合が悪いので頬被りして口にしないだけなのです。(或いは全く知らないか)
咽を通過した酒は、発癌物質アセトアルデヒドにより胃炎、急性膵炎、慢性膵炎、口腔癌、食道癌、などの内臓疾患や、痛風、高血圧症などの悪化を招くのです。中でも一番の問題は肝障害なのです。
次にあなたがおっしゃる中毒性(依存性のことと思います)は精神的、身体的、耐性形成の点でも酒はたばこよりも遥かに強いのです。
しかし、私が問題にする最大のものは、煙草と癌の直接的な因果関係のない現在(医学的にも動物実験の段階で癌の発症が実証されていないのです)酒の持つ社会的な犯罪性なのです。
ブログにも書いた通り、酒による被害者は数えるに余りある悲惨な現実にあります。臭い息を吐きかける軽いものから、喧嘩、事故、殺人まで幅広く、それでも日本は呑気な酒飲み天国なのです。
投稿: 小言こうべい | 2005年11月15日 (火) 00時24分
煙草の場合、火災による損失も馬鹿になりませんね。
火災原因の2位は煙草、死者数は煙草火災が1位です。
投稿: さばた | 2005年11月25日 (金) 06時20分
ちなみに煙草火災による死者と飲酒運転による死者は1000人ほどで、ほぼ同数。
ただし被害金額は煙草火災の方が桁違いに上です。自動車事故で失われるのは車くらいですが、火事の場合家ごと無くなりますからね。
ちなみに煙草火災には煙草による放火はふくまれていません。火災原因の第一位は放火ですが、その方法はライター・マッチ・火のついた煙草と、ほとんどが喫煙道具です。
投稿: さばた | 2005年11月25日 (金) 06時45分