代理出産
毎日新聞(9/2)から
東京港区西麻布の有限会社「エクセレンス」(1996年設立、佐々木祐司社長)が韓国で代理出産が受けられるルートの仲介業を始めたことが報じられた。
この会社は設立当初から不妊夫婦や独身女性らを対象に、有償で精子を提供する精子バンクを営んでいた。ここの顧客であった女性が自力で韓国の仲介業者を探して代理出産していたことを知って、韓国内の医療施設や代理母を仲介する業者と連携、代理出産を希望する日本人を、この業者に紹介する業務を始めた。
今年の始めには第一号となる独身女性(30代前半、子宮に病気をかかえている)が、8月には二組目が契約している。二人は同性愛者で一方の女性の卵子と知人の男性の精子を体外授精させ、もう一人の女性の子宮に入れる予定という。
国内では長野県の「諏訪マタニティークリニック」(根津八紘院長)が2001年に子宮摘出手術を受けた姉夫婦の姉に代わり、妹が代理母として出産したことを明らかにした。これ以前に情報を掴んでいた数社はスクープとなるところを、根津院長の出産後間もない当事者への心理的、健康的にも影響を懸念する配慮から、各社は発表を自粛していた。そこへ朝日新聞が情報をキャッチしてから状況が一変する。この新聞社の体質なのか“われこそ正義”のような姿勢でスクープとしてすっぱ抜いた。(僅か25年前、朝日新聞社は千代田区有楽町から中央区築地へ移転するまで、社屋の横を流れる数寄屋川へ、直径1メートルほどもある排水口から真っ黒なコールタールのような印刷インクの廃液を垂れ流していたのだ。今はない数寄屋橋の上に立つ度に嫌悪の思いで眺めたものだ。1980年11月今の地に引っ越すと同時にそれまでおとなしかった朝日新聞が、声高に全国の工場廃液の、或いは河川汚濁の摘発に乗り出した。)
日本では代理出産に関する法律はなく、日本産科婦人科学会は会告で代理懐胎の禁止を定めているが、あくまでも任意団体であり、法的な拘束力は持っていない。なのに禁じられてもいない行為を朝日新聞の論調に引きづられるように各新聞社はまるで犯罪であるかのように書き立てた。
代理出産には二種類ある。
夫婦の間の精子と卵子を体外授精させ、第三者の子宮に着床させる(ホスト・マザー)
夫の精子を代理母になる女性の子宮内に入れる。卵子は代理母になる女性のもの(サロゲート・マザー)
日本の場合はいずれも子供は分娩した女性が実母となり、依頼した夫婦とは養子縁組をすることになる。
ところが韓国では依頼した夫婦の実子として認められ、養子縁組の手続きをする必要はなく、従来アメリカ(約1000万円)に頼っていた日本からは、渡航費を含めた費用でも凡そ半額ですみ、技術的にもアメリカ並みとあれば韓国での代理出産が増えるだろう。
しかし、冒頭の同性愛者の代理出産問題については私は根本的に認めない。そもそも男性の介入を拒否し(男性同性愛者なら女性)、出産などあり得ない関係で結ばれた二人である筈だ。子供が欲しいから精子(卵子)だけ欲しい。なんという図々しさだ。いくら好き勝手が許されているからといえ、余りに身勝手に過ぎる。考えていることがまるでゲーム感覚だ。同性愛の存在は古代ギリシャの時代からあり、現在は同性愛者間の婚姻を認める国(州)さえあることは知っているが、認めない国の方が圧倒的に多い。宗教上、倫理上、道徳上、習慣上など諸々、それと私のような偏見も加えて。同性愛者の代理出産、これが認められれば金さえ出せば何でもありの歯止めの効かないものになる。
本当に子供が欲しいのに生めないでいる夫婦は沢山いる。長年不妊治療を受け、いつか授かることに望みを持つ人。それ以上に欲しくても生めない先天的に排卵があるのに子宮がない女性、或いは後天的に子宮を失った人、或いは健康上の問題などを思えば代理出産は法の整備を前提として認めるべきだと思う。
例えば、代理出産した女性が依頼された相手に子供を手放さない(アメリカで実際に起きたし、日本では分娩した女性が実母となる)ことや、未熟児、障害児などが生まれた場合の処置、同性愛者、大事な金銭的な問題など、起こるであろう諸種の問題を検討しておくべきだ。(長野の「諏訪マタニティークリニック」では実費以外の請求はしない)
現在 ドイツ、フランス、中国では代理出産は法律で禁止されている。
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コメント
一度、相談に伺いたいのですが、可能ですか?
連絡先の電話は、教えていただけますか?
投稿: 岡 槃一 | 2009年1月28日 (水) 23時52分
岡さま
折角のお申し出ですが、パソコン上での係わり以上のつながりはどなたともしておりませんので、悪しからずご了承下さい。
投稿: 小言こうべい | 2009年1月29日 (木) 22時49分