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2005年8月 9日 (火)

中絶胎児は「一般ごみ」か

毎日新聞(8/9)朝刊から
妊娠12週未満の中絶胎児の処理方法について調査した長野県と同県産科婦人科医会(小西郁生会長)は8日、県内の病院や診療所で、昨年度、185件が「一般ごみ」として処理されていたと発表した。
これに対して県では誤解を招く処理法なので、「医療廃棄物」として処理するよう指導した、とある。
同県の県内113施設の産科や産婦人科、診療所を対象に昨年一年間の事例を調査した結果、休業中の2施設を除く111施設からの回答を纏めたものである。

中絶胎児の処理を巡っては、今年5月、横浜地裁が横浜市の産婦人科医院に対し、「廃棄物処理法に違反する」として有罪判決を言い渡している。これは昨2004年、同市中区の産婦人科「伊勢崎クリニック」が朝日新聞のスクープで摘発され取り上げられたもので、原田院長(62歳)も取材で「一般ごみとして処理することは習慣だった」と事実を認めていたものである。このクリニックでは12週以上の遺体処理は火葬埋葬が必要とされる法を無視して遺体を切り刻んで「一般ごみ」として廃棄していた。当然喧々囂々の批難が起こり、裁判に持ち込まれたものだった。

少し考えてみよう。『胎児はいつ“人”になるのか』
‘いのち’の始まりを 
  カトリックの生命尊厳派は 受胎の瞬間
  フェミニズムの自由主義的立場は 出生の時点
  日本の法律では 体外での生存可能な時期  という。

日本の法律で云う生存可能な時期とは22週(155日)以降とされ「胎児は母体外で生命を保持することができる」とみなされて中絶はできないことになっている。【母体保護法(旧優生保護法)】
この法律で認められている中絶の理由とは
  ● 妊娠の継続や分娩が、身体的、経済的な理由で母体の健康を損なう恐れがある場合
  ● 暴行や脅迫によって、またはレイプされて妊娠した場合
の二つで、それ以外での中絶は「堕胎の罪」(刑法第212条〜216条)として処罰規定が設けられている。
 
しかし、実際はどうなっているのか。中絶大国日本とも云われるように、
    1995年 34万件(優生保護統計で未報告を入れると100万件)
    2001年 34、1万件 を超し、
敗戦後、中絶が行われうようになってから3000万人以上、一億人を超えるとも云われているのが実際のようだ。

法律があってもどこ吹く風、(真剣にお困りの法律で認められている人には失礼な表現になるが)気楽にカンパと称して費用の金銭を集める不良少女、浮気のあげくの奥様がた、避妊に失敗しての若者たち、その道ではベテランの筈の45歳以上のご婦人がそれぞれに理由をつけて婦人科に飛び込む。言葉は悪いがそこで掻き出してもらって後は知らぬ顔で医院を後にする。
堕胎の理由もいろいろあって未婚女性では世相そのままに婚前交渉がトップで半数を占め、既婚女性では未婚女性の2位になる産みたくない妊娠がトップ。どちらも気の向くままにした行為の結果だろう。続いて未婚女性では経済的理由、職業上、避妊の失敗、健康上の理由となり、既婚女性では健康上、職業上と避妊失敗が同率で並ぶ。

横浜の例だが、その後の堕胎児の処理については産院任せ。産院の処理をとやかく論(あげつら)うなら(一般ごみ扱いを非難し、未熟でも人間の子だ、人間性を無視したと喚く)何故、退院の時、堕ろした胎児を火葬してでも受け取り、仏壇を作って弔ってやることをしないのか。それこそが子を産んだ親の責任だろう。自分は道ばたの猫か犬同様に産み捨てておいて、産院の行為をなじるのは筋違いと云うものだ。日本の法律では中絶は二つの理由しか認めていないことを知って付き合いをするのが男と女の関係だろう。私は中絶児は臍の緒と同様に、産み落とした親に返すべきだと考えている。そうすれば無責任な妊娠はうんと減るだろう。

横浜の判決は「廃棄物処理法に違反する」として中絶処理した遺体は根本的に廃棄物として認めた上で、「一般ごみ」ではなく、「医療ごみ」として分別処理することを言い渡したものとなっている。
これは日本の法律から見て当然のことで母体外での生存が可能な155日以上にまで育った胎児が人間(いのち)と看做されることを意味している。

夏休みが終わる頃になって慌てて施設に駆け込む不良女子中高生ら少女の姿が目に見えるようだ。

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コメント

初めまして。えのっちと申します。
私はずいぶん前からマイリスト登録をして記事を読ませて頂いていました。
いつも「へぇ~」とか「そうだなぁ~」と鋭い切り口に感心してました。
今回は中絶に関しての記事でしたが・・・
確かにおっしゃる事はごもっともだと思いますが、確かに必要とせず子を宿してしまったしまった女性側にも問題はあると思いますが、妊娠は男性側にも問題があると思います。
女性だけ(と言う意味ではないでしょうが)批判されるのはちょっと・・・というのが正直なところです。
>私は中絶児は臍の緒と同様に、産み落とした親に返すべきだと考えている。
この意見には私も大賛成です。
高校時代に保健体育の授業で堕胎の手術の様子や、バケツに入ったたくさんの堕胎された子供(と言うべきでしょうか)たちの写真を見た事があり、あまりの衝撃で「もしも望まれない子が出来たとしても絶対に産もう」と思いました。
私は結婚して5年目を迎え、望みながらも未だ夫婦2人の生活をしています。
すっかり「デキ婚」や「Wおめでた」などという言葉が定着しつつある現在ですが、せっかく宿した命をどんな理由があったにせよ「殺して」しまうのは酷い。ましてや「一般ごみ」だなんて。
学生の頃からもっと教師(もしくは親)がちゃんと教えるべきだと思いました。
欲しい人には出来なくて、欲しくない人には出来るなんて・・・哀しいです。

投稿: えのっち | 2005年8月10日 (水) 01時50分

えのっちさん、コメントありがとうございました。
マイリストに登録までして頂いて嬉しいことです。
えのっちさんは私よりも一ヶ月早いブログの先輩です。

ご指摘のとおり、妊娠は女性だけでは不可能なことだし、中絶によって肉体的に、精神的に、その上経済的にも大きな負担を強いられるのが「女性」であるのは違いないでしょう。

反面、私には男女間の性に関しても、女々しい優しいだけの男どもに比べ、今、性でもリーダーシップを握っているのは女性の側にあるとしか映っていないのです。(女性が開発した大人の玩具、避妊具、生理用品、男でも目を背ける低年齢層を狙った女性週刊誌による性の挑発--男の編集者もいるが)だからこそ、避妊の処置は男に協力させる女性の最も重要な責務なのではないでしょうか。

昨夜のテレビ・スタヂオに集まった100人の女子高生の内、半数以上は既にセックスの経験者です。買う人間がいるから、とよく云われますが、私は逆だと思っているのです。一億積んでも無いものは買えないのですから。

追伸
お仕事決まりましたか?
心身共に安定してお子さまが授かるといいですね。

投稿: 小言こうべい | 2005年8月10日 (水) 18時33分

こんばんわ!レスありがとうございます☆
こうべいさんってHNだったんですね。
プロフィールにも書いてなかったので何とお呼びすればよいのか・・・と思っていました。
先輩だなんてとんでもないっ!!
私なんてまだまだですよ(*_*)

>避妊の処置は男に協力させる女性の最も重要な責務なのではないでしょうか。

その通りだと思います。
でも、実際は・・・
以前私もテレビで見た事があるんですが、高校生くらいの女の子たちが不特定多数の人と性交渉をしたあげく性病にかかり「駆け込み寺」的な婦人科に行くという内容でした。
しかも、完治した後も懲りずに同じ過ちを繰り返す。「病気になりたくない」ではなく「薬を飲めば治る」という考え方です。
思わず呆れ返ってしまいました。

でも、やっぱりそれは「間違った知識」しか持っていない事が原因だと思います。
大人が心配するほど子供たちはヘンな受け取り方をしないし、性に対する事を逆に知りたいと考えているんじゃないかと思います。
「隠す事が美徳」という考え方が間違っているんだと思います。

私が小学生の低学年の時に図書館で「子供はどこから来るの?」という絵本を何度も借りてきました。男性と女性の裸の絵が書いてあったり、お母さんのお腹の中に居る赤ちゃんの様子が書いてあったと記憶しています。
しかし、私はイヤラシイ気持ちで借りていたのではなく純粋に興味があっただけなのです。
その本を見つけた両親は「すぐに返して来なさい!」と凄く怒っていました。
悪い事はしていないのに何故怒られたのか・・・あの時は不思議でした。

小学校高学年になると女の子だけ教室に集められ「生理」について先生から話がありました。ご丁寧に出入り口のカーテンまでしめて中の様子が伺えないという念の入りよう。
その後何年も「父親」を含め男性は生理のことを知らないものだと思っていました。

大人が性についてイヤラシイと思っているから
子供たちに教えられないんです。
セックス経験者がどんどん低年齢化している現在、私は「小学校から」とまではいいませんが、せめて「中学校」の保健体育の授業でもっと取り入れるべきだと考えます。

大人は見ないフリをしてはいけないんです。
正しい知識を教えてあげないといけないんです。だから、その場の雰囲気で「勢い」や「ノリ」でセックスをしてしまう子たちが多いんです。

この問題に関しては色んな方向に話が広がってしまって・・・まとまりがなくてスイマセン。
しかし、テレビの街頭インタビューなどで若い女の子達が平気で「した事ありますよ☆」なんて顔も隠さず言えてしまうなんてスゴイ世の中になったもんだと思います。

追伸
今度の日曜に面接に行ってきます!
絶対に仕事をもらえるように頑張りたいと思ってます。もう今の職場の上司には絶えられないので。
私も早く心身ともに落ち着いて子供を授かりたいと思ってます(^^)

投稿: えのっち | 2005年8月11日 (木) 23時59分

今日は、えのっちさん。
敗戦後間もなくのこと、各家庭に浴室などなかった頃、今も語り種のその時間には銭湯の“女湯が空になる”と云われた松竹映画『君の名は』で賑わっていた日本。あらゆるものが混乱し、進駐軍と呼ばれたアメリカ軍人に若い日本の女性が春を鬻(ひさ)いで(通称パンパン、所謂夜の女)いた頃のことです。
松竹の新人女優 炎かよ子 が口にして一躍有名になりました。『セックスしている時が最高』

何故こんなことを書くのかというと、人間は動物本来の「種の保存」だけが目的ではなく、セックスが「快楽」であることを知っている動物だということが言えるからです。

【女大学】(封建道徳で一貫し、江戸時代の女子一般の修身書)で厳しく躾けられた敗戦当時までの女性の生き方を、一変させるには十分過ぎるほどの発言でした。(私が二十歳を過ぎた頃)

敵国であったアメリカからあらゆる面でのカルチャーショックを受ける反面、世の中には現在とは比べ物にならない、何をしても許されるとばかりの低俗なエロ雑誌、カストリ雑誌が氾濫し、ストリップ劇場が軒を揃えてけばけばしい看板を立てていたのです。

直感ですが、当時私はこの流れは加速して、行き着くところ(破局)まで行かなければ止むことはないだろう、と友人とも話し合った記憶が蘇ります。「セックス」の産業化については「代理母」さえ予告しました。しかし、破局がどういう形の何であるのかわかりません。古代に帰って一夫多妻、なのか、一妻多夫なのか、或いはそれさえもないのか。

大人は「セックス」のことを見て見ぬ振りをしているのではなくて、綺麗ごとの『愛』だけでない部分があることを説明出来ないからなのです。昔は嫁入りには多くの家庭では【浮き世絵、枕絵】を娘に持たせ、床入りを教えるのは母親の役目でした。現代の母親には到底不可能なことでしょう。というよりも娘の方が母親を越しているのが実体なのではないでしょうか。

えのっちさん のおっしゃるとおり、正しい性教育は必要なことでしょうが、年令を何処まで引き下げて教えるかは難問でしょうね。

追伸
勤めている頃、子供のできない同僚がいましたが、十年目に女子ができ、二人目の女子も翌年生まれました。ゆっくり待ちましょう。

投稿: 小言こうべい | 2005年8月13日 (土) 13時42分

>昔は嫁入りには多くの家庭では【浮き世絵、枕絵】を娘に持たせ、床入りを教えるのは母親の役目でした。

えぇっ、それってホントですかぁ!!(驚愕)
なんだか分からないけどちょっとビックリです。
確かに今の母親にはムリでしょうねぇ。
というか、なんで母親??それは娘に対して母親で、息子には父親だったんでしょうかね。
浮世絵という所が時代を感じさせますが・・・。

>セックスが「快楽」であることを知っている動物だということが言えるからです。

確かにそうですね。種の保存だけだったら普通の動物と変わらないですものね。

キレイ事だけではないかぁ・・・
なんだか考えさせられました。
私もまだまだ考えが甘ちゃんですな^^;

私の赤ちゃん問題については、私も「いつかその時」が来る事を信じ待ってみようと思っています(^^)
今は若い子たちに囲まれた職場なのでほとんど話題にのぼる事もなくなりましたが、去年まで旧御三家と言われるホテルで働いていた時には、おじ様たちの「悪意のない」発言にかなり悩まされました。「まだ子供出来ないの?」とか、後輩が妊娠して挨拶に来た時「こっちにはまだ順番が来ないんだよねぇ」とか・・・。あの時の哀しさは言葉では言い表せないほどです。今思い出しただけでも相当ツライです。
でもまぁ、なんとかなるでしょう。
こうべいさんの言葉に癒された思いです。
お返事に気付かず返信が遅くなってしまってごめんなさい^^;

投稿: えのっち | 2005年8月17日 (水) 01時37分

今晩は、小言こうべいです。
男尊女卑とはそいうものだったのです。
女は心の潔白よりも身の潔白が求められ、何よりもヒーメンがあるかないかが結婚の第一条件だったのです。初夜で既に無いことが解ると翌日離婚されても文句の言えない立場に置かれていたのです。だからこそ女性にとっての恋愛はある意味で命がけのものでもあったのです。

今でこそ女性にもリビドーがあることは常識ですが、昔はそれさえも抑圧されていたのです。戦地へ赴く思いを掛けた人の、子供を授かりたい、と一夜限りの契りで種を宿し、生きて帰らなかったまま、それこそ一粒種の子を育て、その後の人生を生きた女性もいるのです。

それに比べると、如何に男が勝手な生き物であったか怒りが抑えられなくなると思います。
愛の“あ”も、ましてセックスの“セ”も、口にはできずに育てられた娘に床入りを教えるのが母親の役目であったのとは反対に、男にそれを教えるのは悪友であり、先輩であり、時には父親も加わることがありました。当時の理屈としては結婚して何も知らない妻をリードするため、男は知っておく必要がある、としてです。

政府は男のためには遊廓を用意し、性のはけ口を設けたのです。理由は簡単です、男の歯牙から女性をまもるため、と称して。この理屈は1945年8月15日、敗戦と同時に政府は進駐して来るアメリカ軍人から日本人女性の身を守るため、と称して慰安所を設置し、花街の日本人女性が集められ、27日には東京大森で開業したことは最新のブログで触れました。哀しいことですが、貧乏な家庭の子女は生活のために、そういう所に売られ、供給のバランスが取れていたのです。しかし、遊廓で働く女性には、遊びに来る男どもよりも数段優れた女性がおり、明治の大臣、財界のお偉方の中には遊廓の女性を妻とした人もいるのです。

男も女も中絶しなければならないような子は作らないこと、生んだなら、親は命が尽きるまで子を守ることです。

投稿: 小言こうべい | 2005年8月17日 (水) 22時56分

肉便器女・・・・・・・・・・・・・・

投稿: 基地外 | 2011年11月 2日 (水) 17時58分

現代でも、風俗で働く女性が「私達の仕事は性犯罪の減少に貢献している。」と発言しているのを見かけますが、男性と言うのは相手をしてくれる女性がいなければ性犯罪に走るものなのですか?
こうべいさんが考えていらっしゃるより、男性と女性の性欲には大きな差があると思いますよ。
私は女性ですが、性欲は全くありませんね……。
出産経験が2度ありますが、妻の勤めとして夫の相手をしたのみですね……。
少女達の売春も、性欲によるものでは全く無いと思いますよ。
他の非行と同じ様に、何らかの問題(家庭、人間関係など)を抱えているのでは。
例えば家庭で性虐待を受けていた子や、レイプ被害にあった子は、自らをどんどん汚して行く心理があるそうですよ。

投稿: 父も80歳 | 2011年11月 8日 (火) 02時54分

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受信: 2005年8月21日 (日) 15時08分

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