おかあさん
先日買い物先のスーパーで、女の児の声が聞こえた。“おかあさん”思わず振り返った。
足元には三歳くらいの本当に可愛らしい児が大きく上を向いて近くのお母さんを見上げていた。
何と響きの良い言葉だろう。私の子はすでに三十五歳になる男だけれど、
彼が口にして育てたのを聞いて以来私の生活圏からは一度として耳にすることがなかった。
周りはアメリカかぶれのママ、でありパパで埋め尽くされ、日本人であることを忘れた人々でなっている。
余りの心地良さに失礼を詫びてお母さんに声を掛けた。二十代の若いおかあさんの返事はこうだった。
“ママなんて呼ばれたら気持ちが悪い!”重ねて非礼を詫びて去ったが、アメリカとの戦争で死んだ肉親を持ち、
鬼畜米英で教育された世代にはママ、パパにはどうしても馴染めない。
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