酒とタバコ その四
しかし、本当に云いたいことは、タバコに比べて酒が持つ決定的な社会的犯罪性について、或いは凶悪性についてである。この原因は酒飲み天国日本とでも言えるほど酒飲みに甘い社会的意識の低さにあり、「酒の上のこと」としてその犯罪性すら見過ごす土壌が存在することにある。
例えば飲酒、喫煙ともに成人に限って許される法律があるが、多くはそのどちらも見て見ぬ振りで見逃されるケースもある。明らかに両者に違いがあるのは酒に限って年令制限以外にも種々法の元に社会的な制約が課せられていることにある。例えば、
酒酔い防止法(昭和36年7月1日施行)
第2条 すべて国民は飲酒を強要する等の悪習を排除し、
飲酒についての節度を保つように努めなければならない。
道路交通法 (昭和35年施行)
第65条 第1項 酒気帯び運転の禁止
諸外国には全く飲酒を認めないイスラム教国や、逆に規定を定めないポルトガルのような国もあるが、概ね16歳から日本のように20歳を最低年令とするのが普通だが、ドラッグ王国アメリカでは従来18歳であったのを21歳に引き上げて、何んとか経済損失を抑えようとした国もある。面白いのはイギリスで、食事と一緒の飲酒は16歳で許され、そうでなければ18歳まで飲むことができない決まりになっている。
酒に関する法の存在は、それだけ酒のドラッグ性を認識させるためであり、ひとたび犯罪や事件に結びついた場合の結果は恐ろしいものになる。平成14年6月1日に改正されて厳しくなったとは云え、酒の習慣性を考えればまだまだ生ぬるくもあり、酒による事故は全く減るとは思わない。
従来は規制されていなかった酒気帯びの
●アルコール濃度0.15〜0.25㎎/㍑を対象に懲役一年以下、罰金30万円以下、減点6点。
●アルコール濃度0.25㎎/㍑以上はそれぞれに一年以下、30万円以下、13点となり、
●悪質な酒酔いには懲役三年以下、罰金50万円以下、減点25点としたが、
今までの判例を見ても最高の厳しい摘要を受けた例は少なく、大した期待はできない。
特に最悪の事故に対しても免許の欠格期間を従来の三年から五年にしただけで、再発防止の役に立つとは考え難い。
酒気帯びで掴まってもたまたま自分には‘運がついていなかった’としか思わず、法律は破るためにあるとばかりに張り込みの目をくらまして何度でも繰り返す人間は幾らでもいる。やっていることの犯罪性に全く気がついていない。どんなに軽い酒気帯びであってもその危険の可能性は大きく、起こってしまえば人命に関わる事故となることを考えれば、事故が発生していなくても即免許の取り消し程度のことはするべきであろう。何故なら説諭されただけでは再び繰り返さない酒飲みなど滅多にいないと考えるべきだから。多くの統計を見ても再発事故(酒酔い、酒気帯びの総件数の14.8〜17%)の多いことははっきりしている。一年間に取り締まりに引っ掛かる33万件(1998年)という酒酔い、酒気帯び運転者の数は、警察当局の操作で多少の変動は可能な数字とは言え、少なく見ても取締の網から逃れる数を加えれば倍になっても驚かない。 ---続く
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