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2005年5月25日 (水)

酒とタバコ その三

本論に入ろう。タバコを吸わない人でも多くは酒を楽しんでいるだろうと思う。さて、その酒のことだがこれが又、タバコ以上に有害な飲み物であることを心得ている人は意外に少ない。中国古代の漢書の中に「酒は百薬の長だが、飲み過ぎるのは決して良いことではない」と書かれている後半を、酒飲みが勝手に切り捨てて前半部分だけを誇張した結果が今に到った経過だし、日本でも吉田兼好が徒然草の中で「百薬の長ではあるが、万病は酒より起こる」と書いている。酒飲みの口癖に「適量の酒」があるが、適量の科学的裏づけは全くないし、それを心得て飲んでいるように見える酒飲みなどお目にかかった例(ためし)がない。

その挙げ句が道ばたや電車内など所構わないゲロになり、人に絡み、酒臭い息を吹き掛け、あちこちで喧嘩が起こる。呂律の回らない男や女、そう、この頃はメス虎も多く見かけるが、大虎小虎の辺り構わずの千鳥足で道行く人の邪魔になる。三月、四月ともなれば、卒入学、或いは社会人となった人たちの送別会、歓迎会など酒臭い人間が街なかに増えるが、バカな先輩、アホな上司の無理強いで急性アル中になり、死亡する人間が出るのもこの季節。

     酒税の総額    約 2兆円
     経済損失     約 6兆6千億円

     煙草税の総額   約 2兆3千億円
     経済損失     約 7兆円

上は最近のデータだが、タバコの経済損失が税の3倍も掛かっていると説く論が目立つが、アルコールも同じように膨大な経済損失が存在する。それは酒、タバコのどちらも医療費(酒:1兆円、タバコ:約1兆3千億円)であり、犯罪であり、事故であり、生産性の低下である。

    (アルコールの依存性)
     精神依存  ドラッグ無しではいられない気持ちになる
     身体依存  体がドラッグなしではいられなくなる
     耐性形成  ドラッグの量がどんどん増加する

以上を踏まえてアルコールをヘロイン、コカイン、覚醒剤、マリファナ、LSDなどと比較した場合、驚くことにアルコールの薬物性はヘロインに次いでコカインや覚醒剤、マリファナを抑えて堂々の二位に輝いている。(WHO;世界保健機関の発表)

当然アルコールも発癌物質であり、食道癌、口腔癌、大腸癌などは特にアルコールとの関連性が強い癌だ。(精神科医 林 公一氏)遡ればヨーロッパのタバコはコロンブスが持ち帰ったのを初めとし、イギリスの王室植物園で栽培され、一部の人たちの嗜好品となりつつあったのを、或医師が精神安定の効果があるとして患者に使用したこともあった時代を経て、現在の発癌物質の存在が認められ禁煙が声高に叫ばれる時代になった。アルコールにおいてもアセトアルデヒドの発癌性はっきりしているが、それ以外にはまだ明確な物質は解っていない。しかし、単純に考えれば現時点での分析能力が追い付いていないだけで、まだまだ見つかる物質があるかも知れない。誤解を恐れずに云えば、世の中に存在し口にする食べ物には全て発癌物質が含まれていると見ていいのだ。 ---続く

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