2009年7月12日 (日)

続・やっと淘汰に入った大学

 生き残りを賭けた合従連衡*も始まっている。08年4月には慶応義塾大学(東京都港区)と共立薬科大(同)が経営統合し、1952年の日本医科大と日本獣医畜産大以来56年ぶりに4年制私大を持つ学校法人同士の合併が実現した。

 * 合従連衡(がっしょうれんこう)は中国の故事から来た言葉で、攻守同盟の政策をいう。

 薬学部は近年の新設ラッシュで定員が増える一方、06年度に4年制から6年制に延長された影響で志願者が減少傾向にあり、共立薬科大側に危機感があった。また、09年4月には、関西学院大(兵庫県西宮市)が定員割れしていた聖和大(同)を吸収合併した。

  ♢10年度から学生募集を停止する市立大学♢
  大学名      所在地   定員  学生数 充足率
三重中京大     三重県松阪市 800  657 82・1%
愛知新城大谷大   愛知県新城市 400  158 32・0%
神戸ファッション  
    造形大   兵庫県明石市 400  165 41・3%
聖トマス大     兵庫県尼崎市 1042 568 54・5%
LEC東京リーガル
  マインド大  東京都千代田区 700  226 32・3%
*発表順。定員・学生数は1〜4年生の合計(除・通信制)。
 LEC大は株式会社立大。

 生き残り策として、より一般的なのが「学制が集まる」学部への衣替えだ。中でも目立つのが、入学定員の充足率が約110%(08年度)と安定的な看護学部・学科への転換で、来年度の学部設置を文部科学省に申請している16校中7校が計画。この中には美術学科を廃止して参入する芸術系の大学もある。

 こうした「看板の掛け替え」にはリスクも伴う。00年にスタートした介護保険制度を見据えて急増した福祉系学部の場合は、就職先となる福祉現場の苛酷な実態が知られるにつれて敬遠され、08年度の入学定員充足率は約92%と前年度より8ポイント近くダウンした。再び別の学部に転換する大学も珍しくない。

《教師の聖職、看護・介護の博愛も金銭が伴わないではあり得ない職業になった現在、目まぐるしく目先を変えるのも仕方ないとは思うが、寂しい世の中になったことも嘆かわしいことと思う。》

 私大経営に詳しい東京大大学院の両角亜希子講師(大学経営論)は「学制のニーズに合わせて変えていくことは重要だが、例えば看護学部にしてもその大学がある地域で本当にニーズがあるのかよく見極める必要がある。大学統合も理念や目指す方向性が違うとうまくいかない可能性もある」と指摘している。

《現在、有り余る数の大学がある。反面、その大学にある数だけの教室を埋める学生の数は、パラパラの状態なのが実態だ。どうもがこうが、淘汰を進め大学の数を減らさない限り、経営が行き詰まる大学が出るのは目に見えている。現在、中教審で「大学の適性規模」について審議しているという。》

 中央教育審議会大学分科会は、先月15日にまとめた第1次報告書では、03年度に緩和した大学の設置認可を厳格化するよう求めたほか、生き残りのために大学が統合や連携をする際に国がサポートすることなども提言した。

 中教審の議論を踏まえ、文部科学省は、大学が自主的に定員を減らしても一定期間は削減前の補助金額を受けられるようにする激変緩和策を検討しており、早ければ来年度にも実施する方針だという。

《要するに、具体的な淘汰の手段、方法などには無策、金をばらまくだけのことしか考えが浮かばないようだ。》

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2009年7月11日 (土)

やっと淘汰に入った大学

 敗戦後、雨後の筍のごとく増え続けた大学だが、ここに来て少子化の影響から経営が成り立たず、学生の募集を停止する私大が出てきた。このところの少子化は、金さえあって、望めば誰でも入れる程度に学生のレベルは低下の一途をたどってきた。最早大学は学問の府とは言い難く、キャンパスライフを楽しむ男女交遊の場となったとも言える。世の中の変化につれて時流に乗った学部を作ってみたりしてきたが、新入生を引きつける目玉となるのは限られたものだった。膨れ上がったパイを満たすだけの中身が足りず、小手先わざでは凋落の波は防ぎようもなくなっていた。早くから淘汰を訴えかけてきたが、ここに来てやっと大学が大学らしい姿に戻ろうとする動きが見えてきた。

 毎日新聞(7/11)から、要約 と
 10年度から学生募集を停止する私立大学が相次いでいる。定員割れによる4年制私大の募集停止や破綻は過去2例しかないが、今年度は株式会社立大を含め、既に5件。「大学淘汰」の時代がついに現実化した。

 4月に学生募集停止を発表した三重県松阪市の三重中京大。90年代後半まで2000人以上が通ったが、現在は4学年で計657人。今春の入学者は200人の定員に対し155人だった。4月に入学したばかりの男子学生(19)は「なくなる大学を卒業して就職先があるのか、それが一番心配」と不安を漏らす。

 82年、市の要請に応え、県内2番目の私大『松阪大」として開学した。だが、99年に初め定員割れした後は、毎年のように入学定員を減らしても定員に達しなかった。入学者の大半を占める県内の18歳はピーク時(91年前後)の約3万人から1万人以上減少。05年に現校名に変更するなど打開策も図ったが、名古屋市から特急で1時間以上もかかる立地条件では限界がある。

《泣き言を言っても立地条件は当初から変ったことではない。それに1時間以上の通学時間など普通のことだ。それこそ学問への大志があれば何ということでもない。私など片道2時間弱の会社勤務をこの大学の4年間と同じ期間通っていた。それに名前を変えた看板の付け替えが対策とは情けない話だ。問題の分析能力に欠けていたと言われても仕方ない、来るベくして来た閉校というべきだ。》

 01年度以降は毎年単年度赤字を計上。好調時の蓄えで5億円あまりの繰越金があるが、このまま赤字が続けば数年で底をつく。同時に募集停止する短大は累積赤字が既に約17億円。大学側は「責任を持って在校生を送り出せるうちに決断した」(広報課)と説明し、在校生が卒業する4年後に閉校する方針だ。

《昨日や今日の経済悪化が原因ではない。早くから兆候は現れていたものを、惰性で見過ごしていたのだ。問題は、問題があるのに問題と捉えられなかったことが問題だったのだ。大学の経営とはそんなに気楽なものだったのだろうか。》

 国内の18歳人口は92年の約205万人をピークに減少し続け、09年は約121万人。一方、18歳人口や進学率などを考慮して大学・短大の設置をコントロールしてきた国は、90年代以降徐々に規制を緩和し、03年には認可制から届け出制に改めた。そうした流れの中で、一足早く淘汰が始まった短大や専門学校などからの参入が相次ぎ、大学進学率が低い地域では地方自治体が誘致する形で新しい大学が誕生。02年末には構造改革特区を利用した株式会社立の大学も容認した。先月18日に募集停止を発表したLEC東京リーガルマインド大(東京都千代田区)もその一つだ。

 文部科学省によると、国公立も含め4年制大は89年度の499校から08年度は765校の増えた。一方、日本私立学校振興・共済事業団の調査では、入学定員に達しなかった4年制私大は98年度の8%(35校)から08年度47・1%(266校)と、ほぼ2校に1校に拡大。定員の50%にも満たない大学が29校に上った。また、07年度は4年制大を持つ学校法人の34・5%が赤字で、中でも学生数2000人未満の地方大学は221校中113校(51・1%)が赤字だった。

 大手予備校、河合塾の調査では。首都圏13、関西8の有力21私大で09年度の私立大志願者の49%を占めた。その多くが学部新設などで定員を大幅に増やしており、地方大学との格差はますます広がるばかりだ。同事業団は「今後も学生募集を停止する大学がないとは言えない。ただ、無理に募集を続けて在校生がいるうちに経営破綻するケースだけは避けなければならない」(私学情報室)と話している。

《増やすことができる新しい分野の学部があればいいが、今新しくても時間が経過すればまた直ぐに行き止まる。目先の対応だけで乗り切れる問題ではない。絶対的に多過ぎる大学の数、その反対に、少子化の現実と比例して毎年減少していく18歳。淘汰は急がなければならない問題だ。》
                 - つづく -

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2009年7月10日 (金)

改正育児・介護休業法が成立

 6月24日、参院本会議で採択され、全会一致で可決、成立した。
 同法は、3歳未満の子のいる従業員に対する短時間勤務、
       残業免除を企業に義務付ける。
     男性の育児休業取得の促進。
     違法行為に対する厚生労働相の勧告に従わない
       企業名の公表
 などが柱となっている。

 毎日新聞(6/26)社説から、
 結婚前から仕事をしていた女性の7割が出産を機に退職している。育児休業(育休)を取る男性は1・56%と極端に少ない。昨年秋以降の急激な不況下で、育休を取った社員を不当に解雇した「育休切り」が社会問題となっている。育休が取りづらく、少子化対策につながっていないというのが、この国の現実だ。

《男性の育休については、現在の国の進める方策では男性の取得率の向上など土台無理だし、子育てには何の役にも立たないことは折に触れて書いてきた。》

 少子化が続く中で、子育てしている夫婦に働きやすい環境を整える育児休業制度が施行されたが、欧州各国と比べれば、日本は普及が相当に遅れていると指摘せざるを得ない。

《これについても、その原因について触れてきた。そして、欧州と比較していうならば、「遅れている」は当たらない、「進んでいない」と表現するべきだ。》

 短時間勤務や残業免除の制度化は、事業主が考えを変えて前向きになればできる。そのためには、経営者だけでなく、職場の上司や仲間たちが改正法の理念を受け止め、育休を取得する従業員を支援する体制を広げて広げていくことが必要だ。

《社員を潤沢に抱えている企業、納期に余裕がある企業、一般事務部門(デスクワーク)の多い企業などでは努力次第で取得率の向上も不可能ではないだろうが、これらの企業と反対に、ギリギリの社員で、納期が社運を左右する企業、人の命をあずかる病・産院、なま物を扱う食品や流通関係など、精神論だけで取得率が上がるものではないだろう。》

 スウェーデンでは子どもが満一歳になるまでの間に最長4週間、有給で育児休暇が取れる「パパ・クオータ(父親割当)があり、男性の8割近くが育休を取っている。こうした制度も参考にしながら、男性が子育てや家事に参画する仕組みを広く普及させて行くべきだ。

《またまた、スウェーデンだ。消費税5%そこそこの日本に比べ、スウェーデンの高税率の税制度の仕組みには頬冠りして、「お前たちにもできるはずだ、努力してみろ」と新聞社は社説にまで書いておっしゃる。参照 男性の育児休業 - 2 - 08/04》

 改正法で注目されるのは「育休切り」の防止措置だ。政府原案にはなかったが、与野党で修正し、育休を申し出た従業員に対し休業期間を明記した確認書を交付することを省令で定めることにした。

 米国の世界不況の影響で、厚生労働省には労働者からの相談が前年の1・4倍も増えたことが背景にある。育休を取った人への退職強要や解雇、期間雇用者の雇い止め、減給、復職後の不利益な配置転換などの相談があり、育休制度が社会に定着していない実態が明らかになった。その意味からも、総選挙を前に与野党の対立が激しくなっている中で、与野党が柔軟に歩み寄って、「育休切り」に歯止めをかけることで合意した意義は大きい。

 育児・介護法の改正は、育休制度を普及、定着させるためのスタートである。改正法を作って終わりではない。肝心なことは、事業主の意識変革であり、上司や同僚の理解である。育休を取った後、また職場に戻って働くことが、ごく自然なことになる社会にしたい。
 
《机上の作文を綴ることは易しい。その内容で本当に実行することが可能な企業は一握りだろう。》

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2009年7月 9日 (木)

添加物「ゼロ」は、入っていないことではない

 毎日新聞(7/9)から、要約と《 》内は私見。
 「カロリーゼロ」「保存料を使っていません」など。スーパーやコンビニで、このような表示が目につく。でも実際には別の保存用添加物が使われていたり、単なるキャッチフレーズだったりもする。溢れる「ゼロ」に惑わされないよう、食品表示の実態を知っておきたいものだ。

《意味合いを異にするが、勘違いするものは他にもいろいろとある。例えば刑期の一つに「無期」というのがあるが、これは死ぬまで刑を務める「終身刑(日本には存在しない)」とは異なり、決められた刑の期間が無いということで、出所することが許される刑だし、特に義務教育の子どもを持つ親(保護者)に多い「義務」の勘違いがある。これは子どもの親(保護者)は、子どもに教育を受けさせる義務を有する、ということで、国が教育をする義務があるということではない。》

 今年5月、大手飲料メーカーから「カロリーゼロ、糖質ゼロ、保存料ゼロ」のサイダーが発売された。健康増進法に基づく栄養表示基準によると、カロリー表示は100ml当り5キロカロリー未満、糖質は0・5グラム未満なら「ゼロ」と表示できる。この商法はカロリーと糖質についてはゼロ表示の基準以内で問題ない。ただ、保存料については意外な事実がある。

 「保存料ゼロ」という表示を見て、消費者はどんな食品だとイメージするだろうか。食品の表示問題などに詳しい蒲生恵美・日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会食生活研究会代表は次のように話す。「以前は保存料を使っていたが、技術開発でゼロにすることができた。もしくは、他社の同じ商品は保存料を使っているが、我が社は使っていない」。⦅一体何を言いたいのだろう。⦆

 このサイダーのメーカーに聞いてみると、「元々サイダーに保存料は使っていなかった」という答えが返ってきた。ではなぜ今まで表示していなかったものを表示するようになったのかについては「『セロ』というコンセプトに拘った」ということのようだ。同じようにそもそも使われていない保存料を「ゼロ」とアピールする表示は、このメーカー以外のトマトジュースなどでもある。

 因みに「糖質」と「糖類」の違いも知っておきたい。糖質は炭水化物から食物繊維を除いた澱粉やブドウ糖、果糖などのこと。糖類は糖質の一部で、単糖類(ブドウ糖など)と二糖類(しょ糖など)を指す。このサイダーに含まれるスクラロースなどの甘味料は糖質の一種。厚生労働省新開発食品保健対策室は、「栄養表示基準に基づき、宣伝などで『ゼロ』と強調して表示できるのは糖類だけ」と話す。

⦅「ゼロ」「低」と強調して表示できる基準⦆
             (食品100ml当り)
         ゼロ       低・ひかえめ
 熱   量   5kcal  未満   20kcal 以下
 脂   肪   0・5グラム〃    1・5グラム〃
 糖   類   0・5 〃      2・5   〃
 飽和脂肪酸   0・1 〃     0・75    〃
 ナトリウム   5ミリグラム〃 120ミリグラム 〃
 コレステロール 5  〃     10  〃  
◎「ゼロ」には「無」「ノン」「レス」「オフ」も含まれる。
◎「低・ひかえめ」には「ライト」「オフ」も含まれる。
◎コレステロール値で「ゼロ」を表示するには、飽和脂肪酸が含有量0・75グラム未満かつエネルギー量10%未満であることが前提。

 清涼飲料では「カフェインゼロ」の文字も目につく。コーヒーや緑茶に含まれているのはよく知られているが、カフェインとは無関係なトウモロコシ、アロエ、コラーゲンなどを素材にした飲み物でも「カフェインゼロ」と表示されている商品がある。カフェインは栄養表示基準の対象外なので「どの程度の量までを『ゼロ』と示すかは、企業任せになっている」(同省)という。

 遺伝子組み換え作物では、そもそも組み替え食品が流通していない魚介類などに「組み替えではありません」と表示されていたことが問題となり、公正取引委員会が「景品表示法に反する優良誤認にあたる」との判断を示している。優良誤認とは、例えばメーカーが自社製品をライバル社製品より特に優れているわけでもないのに、あたかも優れいるかのように偽って宣伝することだ。

 「保存料ゼロ」表示について、蒲生は「一般的に保存料が使われていない食品にゼロ表示をするのは的確なメッセージとは言えず、消費者を惑わす優良誤認に近いのではないか」と話す。

《とはいえ、売れれば勝ちの商売だ。違法すれすれの宣伝合戦は消費者が賢くならなければ、公取の注意や警告だけでは防げるものではないだろう。》

 コンビニエンスストアで売られているおにぎりの一部にも、包みに「保存料・合成の着色料は使用しておりません」とある。だが表示J欄をよく見ると「PH調整剤」と記載されている。PH調整剤は微生物の繁殖を抑える添加物。保存料とは呼ばないものの、保存目的で使われる。

 では、PH調整剤は保存料より毒性が弱いのだろうか。長村洋一・鈴鹿医療科学大教授(食品科学)らはソルビン酸カリウム(保存料)と酢酸ナトリウム(PH調整剤)で大腸菌の繁殖を抑える作用を比較した。その結果、同じように菌の繁殖を抑えるには、PH調整剤の場合、保存料の約10倍の量が必要であることが分かった。

 長村は「保存料もPH調整剤も、安全性に変わりはない。ただ、少量で済む保存料を使わずPH調整剤をたくさん使いながら、『保存料ゼロ』とするのは、消費者に誤解を招く行為ではないか」と指摘する。

 食品添加物に詳しい西島基弘・実践女子大学(食品衛生学)によると、保存料など食品添加物を使用することは微生物の繁殖を抑え、食中毒の防止に役立つ。添加物も許容量を超えなければ安全上問題はない。保存料などがなければ、廃棄される食品がますます増える側面もある。

 西島教授は言う。「添加物を危険視するような表示が目立つが、メーカーには添加物の働きが正しく伝わるような表示を心掛けてほしい」と。
 

 

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2009年7月 8日 (水)

赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」の法的問題

 参照 赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」 06/11 《ここで、私はポスト開設に反対の意見を述べた。》

 毎日新聞(7/7)から、 要約と、《 》内は私見。
 熊本市の慈恵病院がポストを開設してから2年が過ぎ、運営上の問題や親の実情が浮き彫りになってきた。入れられた子どもの「健やかに育つ権利」「出自を知る権利」そして「親権」。何を優先させ、他の権利をどう補うか、国と熊本県、市はともに検討し、先送りしてきた法的な問題に速やかに判断を示すべきだ。

 赤ちゃんポストは現行法が想定していない施設で、国は刑法や児童福祉法に照らし「直ちに違法とはいえない」とし、「見切り発車」したのが実情であった。
▽子どもへの対応は、次のような内容で異なる。
 1、ポストに入れる前の事前相談
 2、ポストに入れられ身元が判明
 3、ポストに入れられ身元が分からない

 1、の場合、病院と親たちで相談しながら後のことを決められる。特別養子縁組を斡旋する団体に引き継ぐこともできる。
 2、と3、は児童相談所が対応する。2、なら、親の居住地の児相に引き継ぎ、原則的には親元に戻るのを推す支援がなされる。

 問題は3、のケースで、「新しい家族」を得られるかは現状では不透明だ。通常の「捨て子」は、警察が保護責任者遺棄容疑で捜査する。身元が分からない場合、捜査を論拠に家庭裁判所が「実父母に養育意思があると確認できない」と特別養子縁組を認めるケースがある。だが、ポストの場合、捜査は明らかに虐待を受けている場合などにとどまる。親が後に名乗り出る可能性も捨て切れず、家裁が同様の判断をする論拠がない。判例などから特別養子縁組は難しいと県は分析している。

 このため、病院は08年度から、「匿名での受け入れ」という大前提を覆した。建物の外側から赤ちゃんを入れ扉を閉めると、扉に鍵がかかってアラームが鳴り、駆けつけた職員が赤ちゃんを保護するのに加え、アラームと同時に建物の外に回る職員を配置した。入れたと思われる人を捜し、車のナンバーを記録した例もある。身持ちが分かった子どもは、07年度は入れられた17人のうち10人だったが、08年度は25人中22人。判明率は大幅に伸びた。

 身元の分からない10人は、今も乳児院などや里親の元で育っている。しかし、里親にしても児童福祉法の規定で原則18歳までの期限付きで、「新しい家族を与える」という当初の理念とは異なる。

《もともと“生まれた子には罪はない”捨てられる子どもが哀れという人道的な立場だけで開設したポストで、法的な問題をクリアした上でのことではない。》

 慈恵病院の蓮田理事長は昨年、一定期間連絡がなければ養子縁組の手続きを進めるような内容の告知をするよう検討した。「親権」より「健やかに育つ権利」を優先させようとしたわけだ。だが、親権停止を宣告するような行動は、民法で家庭裁判所がすると定めており、一病院の判断ではできない。「国が決めること」と、1月に小渕少子化担当相に、特別養子縁組の緩和を要請したという。しかし、今現在、国にも目立った動きはない。

 「想定外」は、他の公表結果からもうかがえる。大学教授や医師らによる熊本県の中期的検証会議の中間報告(08年9月)で、ポストに子どもを入れにきた人物は07年度、母親1人のケースが約2割と判明。熊本市が公表した08年度の利用状況でも、父親が係わったケース、祖父母が係わった例が各5件あった。「1人で悩み、追いつめられた母親が利用」という見込みからはほど遠かった。

《このことは日本の現状の性モラルのなさ、男女関係の乱れなどからも、生まれた子は邪魔だから捨てるだけになることは開設時点で予測はついていた。ただ、蓮田理事長のカトリックの博愛の精神から、心情的な配慮としてでたことには同情できた。また、父の急死による票田を引き継いだだけのお穣ちゃま担当相には、何かを提案、提起したところでメッセンジャーガールの役割しかもっていないだろう。》

 だが、市も県も自ら分析することすら拒んでいる。「検証会議が議論することになっており、現時点で評価は出来ない」という。問題がはっきりしてきた以上、これですませられるわけはない。特別養子縁組に取り組みにせよ、申請できるのは6歳未満などの条件があり、ポストに入れられた子どもたちにはそんなに時間的余裕はない。身元の分からない子どもたちの成育環境を可能な限り保障できるよう、早急に詰めるべきだ。

 そのためには、どの権利を優先させるべきか、まず明確にすべきだと思う。同様の制度を持つ米カリフォルニア州では「望まぬ妊娠をした母親が出産直後の動転で赤ちゃんを殺す・捨てる事件を防ぐ」と目的をはっきりさせ、「出自を知る権利は保障できないが、命と新しい家庭を得られることを優先した」と、失う権利にも向き合っていた。

 ポストが使われない社会は理想だが、これだけの利用がある以上、運用中止は問題の解決にならない。運用を続けながら、身元の分からない子どもたちが自らを肯定して生きて行けるよう取り組むことが、「社会で育てる」ことにつながると思う。

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2009年7月 7日 (火)

ローン払えず 自宅競売が増加

 毎日新聞(6/24、25)から、要約と《》内は私見。
 不況による収入減で住宅ローンを返済できず、競売にかけられるケースが急増しているという。虎の子のマイホームを手放さざるを得ない人はさらに増えるのだろうか。トヨタ自動車グループなどの地元企業の業績悪化の直撃を受けている愛知県では、戸建て住宅の競売が07年に比べて08年には約7倍に増えている。

 東京都新宿区の40歳代の男性会社員に昨年末、住宅金融支援機構(旧受託金融公庫)から封書が届いた。「2週間以内に住宅ローンを一括返済できなければ競売に移行する」というものだった。妻と小学生の娘の3人暮し。00年に3700万円で2LDKのマンションを購入した。返済は月10万円。給料は月50万円を超え、余裕があったが、昨年夏から一変した。

 勤務先の建築会社の業績悪化で給料は30万円台に。妻が体調を崩し、治療費などで消費者金融から400万円を借りたが、住宅ローンが払えなくなった。

 男性は競売後に離婚し、手元に残ったのは1800万円のローン。自己破産を申請し、今は狭いアパートに住んでいる。「無理してでもマイホームは維持したかったが、まさかこんな不景気になるとは」と話す。

《昔の男は一生の大事業として、自分の家を持つことが夢であった。そのためには営々として働き、勤め上げて手にする退職金と苦労して貯えてきた貯蓄を加えて念願の家(終の住処)を用意し、その後の家族と過ごす人生の拠り所としたものだった。

《昔(敗戦後の半世紀ほど前の話だ)は現在以上に格差社会であった。金持ちと貧乏人という。金持ちが手に入れる贅沢品とまで行かなくても、貧乏人には日常品さえ手にすることには不自由することが多くあった。苦しい生活を助けてくれる貧乏人の味方が質屋であり、月賦販売であった。「おう、それラムネか?」一張羅の背広を着て出社する同僚に、友人が声をかける。世界でも有数の高給取りとなった現在のサラリーマンと違って、当時の世界屈指の安月給の貧乏サラリーマンには背広一着は分割でなければ手に入れることは難しかった。「ラムネ」を飲めばゲップが出る、そのゲップを月賦にかけて自虐的に使っていた言葉だ。

《○1○1の丸井が月賦百貨店で繁昌していた時代のことだ。その丸井がラムネをクレジットという洒落た名前を付けて分割払いを定着化して行った。ローンの本質がここにあることを忘れてはならない。大枚をはたいて何千万、何億のマンションを購入できる金持ちと、わずか2、3千万円を20年、30年、いやそれ以上掛けて支払って行く層とはおのずと金銭感覚が違っていていいはずだ。

《ところが、現在、自宅購入は男だけで手に入れるものではなくなった。女性に収入が生じ、資金は夫婦合算で計画が立てられる時代になった。ローンの落し穴がそこにあるのだ。今では結婚は親を捨てることから始まる。差し迫っては住む家を準備しなければならない。退職金を待つことなど絶対に不可能だ。合算したところで若い二人には有り余る資金になるわけではない。働くこと以上に楽しむことも求め、それを優先する。なくてもいい乗用車を必需品と考える、年に数回の旅行(国内外)も外せない、外食は当たり前になる、携帯電話は使い放題、そのため購入したマイホームのローンの支払いは、月々の出費を抑えてボーナスでまとめて充当する計画をたてる。ところがボーナスは企業の業績配分だ。企業に利益が生まれなければボーナスは極端な話支払われなくても仕方のないものだ。そこに発生したのがこの度のリストラにボーナス削減だ。

 国内の住宅ローン残高の約2割を占める住宅金融支援機構によると、08年度に競売に持ち込んだ件数は前年度比35%増の1万6577件。今年3月は昨年9月の約2倍の1830件に上った。

 東京都中央区のNPO法人、競売債務者支援協会(岡野雄一郎理事長)には現在、競売を迫られた人の相談が1日10〜20件寄せられる。以前は不況の影響を受けやすい中小企業の経営者が多かったが、最近は「給与削減でローンが払えない」と訴える大企業の社員が目立ってきたという。

 金融機関が競売を通知しても、裁判所が競売にかける前に、不動産業者が仲介する「任意売却」も多い。売却額が競売よりもやや高いからだ。岡野理事長によると「競売の相談のうち4割は任意売却」。ただ、地価下落で任意売却も不調に終わり、競売に移行するケースが増えているという。

 一方、ボーナス削減で 住宅ローンを払えなくなる事態続出を警戒し、金融機関も対応に乗り出している。大手銀行は各支店に住宅ローン相談にきめ細かく応じるよう指示を出した。東邦銀行(福島県)は、返済期間の延長を、従来は借入日から最長35年しか認めていなかったが、最長50年に延ばした。

 住宅支援機構も主力の「フラット35」(最長35年の長期固定金利住宅ローン)で返済期間の延長やボーナス払いの減額などが利用できる制度を用意。「競売は最後の手段。とにかく早めの相談を」と呼び掛ける。

 政府は09年度補正予算で「フラット35」を預金ゼロでも利用できる財政支援を盛り込んだ。従来は頭金が借入額の1割以上必要だった。

 ファイナンシャルプランナーの西澤京子は「経済の先行きが不透明な中、返済できなくなるリスクが高いことも認識すべきだ」と指摘する。当初は返済を抑えたが、後に払い切れなくなって社会問題化した「ゆとりローン」や米サブプライムローンの二の舞になりかねず、西澤は「完済までの家計の長期計画を立て、慎重に利用すべきだ」と話す。

 経済評論家の石井勝利もいう。これからマイホームを求めてローンを組む人は、とくに不安定な「ボーナス払い」の割合は大きく減らして、月々の返済でも可能な範囲での借入を優先すべきだ。マイホームを求めるのはいいが、返済の継続に見通しが立たないなら考え方を変えなければならない。右肩上がりの経済ではない現実を見据え、慎重に判断すべきだ、と。

《苦しんで購入するだけが家ではない。借り物の家でも一家で楽しく食卓を囲んで団欒のできるスペースがあればそれに越したことはない。》

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2009年7月 5日 (日)

5歳男児の寝小便

 《最近は相談者の性別も年齢も明かさないままの記事が多い。この相談者も文章から判断して多分女性だろうが年齢不詳、一人親家庭なのか他にきょうだいがいるのかいないのかさっぱり分からない。相談の内容が、子どもの日常生活など家庭環境も多分に影響を与えることを考えれば、働く親なのか、そうでないのか程度のことは書くべきだろう。例えば、保育園にでも預けられて日中ひとりぽっちでいるなどすれば、情緒不安定なことが左右することだってあり得ることだ。》

【閑話休題】
毎日新聞(7/5)「子ども相談室」から、《 》内は私見。

 質問、5歳5カ月の男児。毎日のように寝小便(おねしょ と書いてある)をします。夜中にトイレに2回連れて行ってもすることがあります。病院へ相談すべきでしょうか。最近は夜寝る時だけおしめを履かせていますが、これでいいのか不安です。

《どうやら同居の子育て経験者も、男児にきょうだいもいないようだ。何かあると直ぐに「救急車」と同じように、何でもかでも直ぐに思い浮かぶのは「病院」のようだ。その前に周りの子育て経験者を訪ねて聞いてみることも思い浮かばないのだろうか。》

 回答は小児科医・加部一彦、「起こさず、焦らず、怒らず」が、寝小便対策の「3原則」と言われています。かつては、小便の習慣をつけるため、夜中に起こしてトイレに連れて行く方がよいと考えられていました。
 現在は、起こすことで睡眠リズムが妨げられ、睡眠中の尿量を減らす働きをしている抗利尿ホルモンの分泌が不安定になるため、起こさない方がよいと考えられています。

 ご質問のお子さんのように、5歳を過ぎている場合、本人は寝小便を「恥ずかしいと」考えていると思います。親が寝小便を怒ると、「寝小便しないように」と緊張し、却って不安が増してしまいます。寝る時のおむつも、さらに緊張を高める可能性があります。

 当面は、寝小便は「仕方がないこと」と考え、眠る前には水分を控えたり、トイレに行ってから眠る習慣をつけることから始めてはいかがでしょうか。

 膀胱の容量を増やすため、日中のおしっこは「もうダメ!」となるまで、できるだけ我慢させることもいいでしょう。我慢したあとのおしっこの量を「我慢尿量」といい、6歳前後では150ml以上の容量があるはずです。これが少ないと寝小便の原因になります。

 寝小便が治らないお子さんの中には、ホルモン異常など病気が原因の場合もありますが、6歳前後なら病気の可能性を考えるより、まだ身体の発育が十分でないと考え、焦らずに気長に見守ってあげることが必要だと思います。

《それで治ります、とは回答していない。ところで、私の子どもの頃はここに書かれている坊やよりも、遥かに手強い寝小便垂れだった。毎日のように敷き布団には日本地図や世界地図を描いていた。自慢ではないが、小学校に上がる頃まで続いていた。しかし母親から叱られた記憶が全くない。寝間着や下着を洗濯し、濡れた布団を黙々と竿竹に掛け、日光に当てていたのを覚えている。毎日のように濡らす布団の替えなどない。天日干しとはいえ、当然布団の丸洗いなどできっこない。アンモニア臭にくるまれての就寝だった。だからといって病院に行ったこともない。その頃にはきょうだいはすでに5人になっていたが、弟も、その下の妹も寝小便はしても私には比べようもなく布団を干す回数は少なかった。》

《加部のいうように、寝小便をして当たり前とは思ってはいない。何重にも重なった地図が描かれた布団を干す母の姿を見ては、友達に見られるのは恥ずかしい、今日はしないぞ、と思っていても朝には地図を描いている。その繰り返しだった。だが、それほどの重症でも、いつの間にか忘れたように遠ざかっていた。その後、所帯を持って長男が生まれ、寝小便を引き継いでいないか心配したが、全くの杞憂で済んで一安心だったことを思い出す。》

《相談の親ごさん、おむつなどしないでやって下さい。子供心にも後々の人生に影響も出,心の傷として残りますよ。それから、汚した物は手間を惜しまず洗ってやって、布団はお天道様に干してやって下さいね。》
 

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2009年7月 4日 (土)

北朝鮮 ミサイル3発発射

 毎日新聞(7/4)から、 《》内は私見。
 《蜂の巣をつついたように騒ぎまくった従来の北朝鮮のミサイル報導が嘘のように落ちついたものになってきた。政府を筆頭に、メディアもテレビも朝から晩まで北朝鮮、北朝鮮と叫び続けていたが、今度は3発も打ち上げたというのに何だか落ちついたものだ。》

 《私の世代には小学校修身の教科書に、出てもいないのに『狼が出た!』と叫んで村人を驚かせ、二度三度と繰り返して本当に出た時に信じてもらえなかった子どもの話が載っていて、流言蜚語の怖さを教えられたものだ。これまでの新聞やテレビの北朝鮮報道は、将に国民の恐怖心を煽り立て、北朝鮮憎しと同時に、猜疑心を掻き立て、国を挙げて自衛隊戦力の増強の必要性を煽る役目でしかなかった。》

 韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は4日午前8時から10時45分の間に、同国南東部の江原道安辺郡旗対嶺(かんうぉんどあんぴょんぐんきてりょん)付近から日本海に向け、ミサイル3発を発射した。

《日本海に向けて打ったのであって、日本に向けて打ったのではないし、たまたまその海も日本海と名付けられている海であるだけだ。以前もそうだったが、北朝鮮沿岸に沿ってウラジオストック方向に向けて打ったものまで、日本海に向けて撃ったと表現していた。》

 約400キロ以上離れた地点に落下したとみられる。韓国メディアによると、米独立記念日の4日(日本時間4日午後〜5日午前)に合わせ、旗対嶺の基地で中距離ミサイルを発射する動きもみられ、韓国軍当局などが監視を強めている。

 北朝鮮は江原道元元山(うぉんさん)市沖日本海沿岸海域などで6月25日から今月11日まで「訓練を実施する」と公にし、2日夕から夜にかけても短距離ミサイル計4発を発射。軍事訓練の一環とみられる。

 《あくまでも、北朝鮮にとっては軍事訓練のそれ以上のものではないだろうし、北朝鮮に狙いがあるとすれば、その相手は米国以外にはあり得ない。》

 今後、米独立記念日の4日に合わせ、中距離ミサイルを発射するなど挑発がエスカレートする可能性がある。旗対嶺で準備中とみられるのは中距離弾道ミサイル「ノドン」(射程1300キロ)で、07年に実戦配備された射程3000キロの新型中距離ミサイルの可能性もあるとしている。

 北朝鮮は、米独立記念日に合わせ06年7月5日にも長距離弾道ミサイル「テポドン2号」など計7発を発射。こKのうち旗対嶺から「ノドン」など6発を発射した。韓国では今月8日の北朝鮮の故金日成主席の死去15周年に合わせて発射する可能性も指摘されている。

 河村建夫官房長官は4日「北朝鮮に厳重に抗議し、遺憾の意を表明する」との声明を発表した。ミサイルが「北朝鮮沿岸に近い日本海に落下したものとみられる」としたうえで「わが国を含む近隣国への安全保障上の重大な挑発行為であり、国連安保理決議に違反する」とも批判した。政府は同日午前9時45分、首相官邸に対策室を設置した。

 《国連安保理決議が絶対のものであるように言っているが、国際法上、それに優先する国連決議が存在することを、6月3日のブログで引用した。参照:日本の対北朝鮮制裁は効果あるのだろうか 》。
 

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2009年7月 2日 (木)

子どもの値段

 毎日新聞(7/2)から、《 》内は私見。
 《ギョッとするタイトルをつけたが、2006年に人身売買を扱った『赤ちゃんの値段』(高倉正樹著:講談社)の話ではない。自転車の「3人乗り」を条件付きで認める公安委員会規則が各自治体でも施行されたが、それに伴うさまざまな反応について感じたことを書きたい。》

 メーカーは早速さまざまな3人乗り自転車を市場に投入しているが、県警(埼玉)企画課の調査では、主流は5万〜7万円台、電動アシスト付きは十数万円する。幼児をかかえる母親からは行政の購入補助を期待する声も上がる。

《思い出せば乗用車にチャイルドシート装着が義務化された時にも同じ意見が噴出した。その時にも今回同様感じたことだが、親たちはわが子の命を一体幾らで換算しているのだろう、ということだった。自転車も今日突然発売されたのではない。以前からの事故の発生を契機に3人乗り禁止となるところを、母親たちの「それでも3人乗り自転車は必要である」の声を受け、対策としての3人乗り自転車の開発、試作が繰り返されてきた。その間に必要経費の準備は整えておくのが通常の考えだろう。万が一、事故が発生して子ども二人の命を失うようなことでもあれば、と考えれば5万10万の保険は決して高いものではないはずだ。子どもの命を守る保険ではないのだろうか。》

 県警は今年上半期、県内で自転車の3人乗りが関係した事故を13件確認している。3人乗りできるのは、6歳未満を「自転車協会」の安全基準を満たした自転車にのせる場合だけ。基準外の自転車だと道路交通法違反で2万円以下の罰金または科料の対象となるが、県警によると、警察庁の通達で、3人乗り用が普及するまでは違法状態を警察官が発見しても注意や指導にとどめる方針だという。

《子どもいのち以上に「高いから」の打算でちっとも普及が進まなかったら、どれだけ引き延ばすつもりだろう。》

 自転車メーカー「丸石サイクル」(吉川市)は、ハンドルの軸の上に座席を取り付け、前輪を後輪よりも小さくしてふらつきを防止するタイプを8月以降に販売する予定だという。後部座席を載せる荷台をフレームと一体化させ、子どもの重さでバランスを崩さないよう工夫する。同社広報担当の座間知子は「消費者や販売店からの問合せが増えている」。「ホダカ」(越谷市)は、ハンドルがふらつかないよう車輪を小さくして重心を低くした。横揺れ対策でフレームや荷台の強度もアップさせたという。7月中旬以降に販売開始予定で、本体価格は4万7800円、後部座席はオプションで6000〜1万円程度になる予定。

《これでは3人乗りできる自転車がまだ揃っていないことになる。警察庁のいう用具の普及を待っての取締り云々はナンセンスな話だ。》

 だが、長女(6)と次女(4)がいるパート従業員の女性(28)は、3人乗り用の価格帯を聞いて、「ギョッとする。補助金があれば買い替えたいけれど、どうしよう。これからは歩こうかしら」と困惑している。

《何かというとお得意の補助金よこせの乞食根性のおねだりだ。それほどわが子の命を安く見積もりたいのだろうか。もっとも、このさもしい心を先に見越してお恵みを出すところもある。》

 前橋市などは3人乗り用購入に助成金を決めている。県警交通企画課は「子どもが成長すれば不要になる。業界団体に働きかけてリース方式など、さまざまな支援策を検討していきたい」と話し、県や自治体と協議したいとしている。
 

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2009年7月 1日 (水)

硫黄島の遺骨収集は

 参照 戦争はまだ終わってはいないー、放置されたままの「英霊」08/10
    続 硫黄島 2、07/08/16
    続 硫黄島 1、07/08/15

 毎日新聞(7/1)「なるほドリ」から、《 》内は私見。
 《学校の歴史で今次大戦や、戦争責任について考えることを教えて来なかったから、クリント・イーストウッドの映画「硫黄島からの手紙」を観て、「感激した」「良かった」と、映画の感想は言える。だが、ただそれだけで終わるのが日本人だ。戦争で激戦があったのは硫黄島だけではない。現代の若者たちが新婚旅行に、卒業旅行に、観光に出かけて遊び回る南方の島々には、未だに地下に眠る英霊たちが、故国に帰る日を待ちわびて、埋もれたままになっているのだ。》

 戦争末期、米軍は東京から約2600キロ南のマリアナ諸島からB29を発信させ、日本本土を爆撃していた。しかし、護衛戦闘機の航続距離が短かいこともあり、もっと日本に近い基地を必要としていた。そこで、東京から約1250キロ南の硫黄島を狙った。

 Q 日本軍は空襲の激化を食い止めたかった。

 A 一般島民が避難したあと、戦闘は1945年2月から3月に掛けて行われた。栗林中将が率いる日本軍は地下壕にこもるなどして抵抗したが、最後は米軍が占領した。日本軍は約2万人、米軍は約7000人が死亡した。

 Q 戦後はどうなったのか。

 A 68年に日本に返還されて以来、自衛隊が管理して訓練などを行っている。米軍も訓練に使用することがある。しかし、民間人は自由に行くことができない。

 Q 戦って死んだ兵士たちは、ちゃんと弔われたのか。

 A 厚生省(当時)が米軍占領中の52年度に1度、遺骨の収集を行った。日本返還後にはほぼ毎年実施している。でも、昨年度までに収集された日本人の遺骨は8664柱で、まだ1万柱以上が残されたままだ。

 Q なぜ、そんなに多いのか。

 A 現在、飛行場の滑走路になっている辺りが最大の激戦地の一つで、この下に多数の遺骨が眠っているとされている。遺族の強い希望もあって、国の今年度予算にようやく、滑走路下の遺骨収集に伴う費用1億円が計上された。

《米軍は、日本本土爆撃のため、占領した硫黄島に飛行場の拡張建設を進め、遺体を埋めた上に滑走路を敷設していったのだ。国のために命を捨てた遺骨の上の滑走路を使って現在も自衛隊は飛行訓練を行っているのだ。》

 Q 遺族の念願が、もうすぐ叶うのだろうか。

 A そう簡単ではない。防衛省は「今の滑走路の下から遺骨を収集するためには、別の場所に滑走路を造らなければならない」と考えている。そのためには数百億円、約10年かかると見込んでいる。今年度に行われるのは、地形や地質などの調査に過ぎない。まだ入り口の段階といっていい。遺族は高齢化しており、一刻も早く本格的な収集が始まることを望んでいる。
 
 

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